「ファシリテーター型リーダー」という言葉は、読者の皆さんにはあまり耳慣れない言葉かもしれない。しかし、ファシリテーションに関しては、皆さん良くご存じのことと思う。会議などを運営する能力として、最近は人材育成プログラムの一つに取込んでいる企業も多いと思う。言うまでもなく、必要なメンバーに積極的に参加し、活発に意見を出してもらう、会議の目的を達成するために必要なスキルである。
このような会議をうまく運営するスキルは、「狭義」のファシリテーションと言える。「広義」のファシリテーションは、ビジネスの目的を達成するために、必要な会議を企画し、必要なメンバーに参加してもらい適切な結論を導き、その結果を実行に移し、実行結果に応じてまた必要な会議を企画するというプロセスを繰り返して、ビジネスの目的を達成する能力、つまりビジネスの目的を達成するためのプロセスと場をマネジメントする能力である。
言葉で書くと簡単だが、これを実行するのはどんどん難しくなってきている。なぜならば、上述したようにビジネスが多様化していると同時に、人や組織も多様化してきているからである。
時代背景に応じ、右肩上がりの時代には親分肌の現場監督型リーダー、あるいはスーパーマン型のリーダーが、市場の成熟化が進む時代には企業のあるべき姿を描くビジョナリー型リーダーが必要だと言われた。内部・外部環境の多様化が加速度的に進む現代では、どのようなリーダー像が求められるのであろうか。
それは、統率力だけでも個人力だけでもなく、会社方針に応じた自分なりのベクトルを作り、必要に応じて内外・上下左右の人材を巻き込んで、適材適所で全員をファシリテーターにしながら、ビジネスゴール達成に向けて一連のプロセスと場をマネジメントできるリーダー、つまり「ファシリテーター型リーダー」なのである。(図1参照)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授