戦いの中では状況が目まぐるしく変わる。上官は目的を明確にし、指令はシンプルにすること。部下は必要な時には自主的に行動が取れるよう、常に準備を整えておく。ビジネスの世界も同様に、目的を達成できる組織づくりが望まれている。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
企業活動と軍事行動は非常に似ています。全体の戦略、アクションプラン、商品開発、戦術実行など、戦略コンサルタントである、著者のスティーブン・バンギーは、そのような類似点を、どのように戦略的ビジネス活動に生かしていくか? を本書で考察しています。
よく使われている「歴史は繰り返す」という言葉があります。社会のサイクルは一定周期で回っており、賢者はこの周期から、今から何が起ころうとしているのか? いったい、今、何をすべきか? を学び取ろうとします。なぜなら、色々なことを予見できることは、ビジネスマンにとって必要不可欠だからに他なりません。「目的を達成する組織」を構築したい、すべての管理者の方にお勧めの良書だと思います。
企業運営にはビジョンが必要です。数年後、数十年後の企業のあるべき姿を目標として、それに向かって進んでいく。それを無くして企業の成長はありません。そして、そこに行きつくまでにどういったプロセスを経ていくべきなのかを考える。それが経営戦略であり事業計画です。しかし、その計画を100%実践していくことがほとんどの企業にとっては困難な事のように思えます。
何故そんなことが起こるのでしょうか? 立案した計画があまりにも現実とはかけ離れたものなのか? また、経営戦略上、それを実行する人間にスキルがないのか? 様々な事が考えられます。ともあれ、多くの企業において同様の事が起こっている事を考えれば、この両者ではないと言わざるを得ません。
むしろ、確実にできることであり、実践するスキルを持ち合わせているのにもかかわらず、そこに摩訶不思議なブレーキがかかっているのかもしれません。
本著においては、この理由について細かく分析を行いそれに対して、どのように修正していくべきなのかについて解説をしています。
非常に興味深いのは、その手法が現代において生まれたものでなく、19世紀のドイツの軍事戦略にあると言うことです。「古きを訪ねて新しきを知れ」ということわざがありますが、まさに過去の素晴らしいノウハウには学ぶべきものが多くあります。皆さんの会社でもでもきっとありそうな諸問題をこの書を読みながら解決に導いていきましょう。
組織にとって、戦略を実行に移すことが難しい場合がよくあります。複雑なビジネスの世界では、企業は気が付かないうちに混乱に見舞われ、企業運営の先行きが見えなくなってしまいます。従業員は息苦しさと矛盾を感じながら、分析やとりとめのない会議に長い時間を費やします。意志決定はむしばまれ、従業員や管理職者、重役の間にはストレスがたまります。
心配性の経営者は、従業員は何をすべきか、意味の無い非生産的な指示を細かく出します。従業員は自然と、そのようなマイクロマネージメントに憤慨し、信頼関係はむしばまれます。その結果、どのように前進すれば良いのか、誰にも分からなくなります。そして、最も大切なことに、「私に何をして欲しいのか? 」という最も基本的な質問に、誰も明確に答えることができなくなるのです。
これは、ある意味民主主義の世の中におけるジレンマとも言えるかもしれません。完全にトップダウン形式で指示が下されるのであれば、企業運営そのものがうまく行こうがそうでなかろうがトップの経営手腕にかかってくることになります。確かにこれはある意味原始的な経営かもしれませんが、複雑化したビジネス形態や組織が抱える大きな問題といえるでしょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授