日本型経営の三種の神器「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」が崩れ始めている。欧米流のポストや報酬という外発的動機付けだけではなく、日本では組織の目的、個人の尊重といった内発的動機付けが必要になる。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
「新入社員時代にお世話になった上司が、役職定年で自分の下につくことになってしまった。他の部下たちが、自分ではなく、その元上司にお伺いを立てに行ってしまうんです」
「50代の年上部下が、30代の年下上司であるわたしのことを“おい、お前”と呼ぶことがあります。職場では空気が緊張しますし、お客様先だとけげんな顔をされます」
「昇進したのはよいのですが、異動先でベテランの女性部下が“現場のことに口を挟まないでください”と、取りつく島もないのです。一体どうしたものか」
わたしが代表を務める人材育成企業FeelWorksでは、さまざまな企業の現場管理職向けに“部下を育て生かす 現場の上司力研修”を実施し続けているが、ここ数年「年上部下の扱いに困っている」という声があまりにも増えてきたと感じている。新刊「年上の部下とうまくつきあう9つのルール」(ダイヤモンド社)を書こうと思ったのは、これらの悩みになんとか応えたいと考えたからである。
わたしは、2006年に「上司力トレーニング」(ダイヤモンド社)を上梓して以来、理想と現実のギャップで早期離職しがちな新人部下を育てるための「頭痛のタネは新入社員」(新潮社)、ワークライフバランスばかり求めがちな女性部下に働きがいを持ち活躍してもらうための「女性社員のトリセツ」(ダイヤモンド社)、会社組織への忠誠心を失った若手部下をいま一度動機付けするための「若手社員が化ける会議のしかけ」(青春出版社)、純粋で従順になる一方の新人部下の意欲と主体性を引き出すための「スマホ新人を部下に持ったら読む本」(電子書籍)など、部下の対象別に上司はどのような“上司力”を発揮すべきか考察を続けてきた。しかし今回ほど苦労した本はない。
まず現場で起こっている年下上司の葛藤、年上部下の戸惑いの肉声を集めることから始めた。並行して、さまざまな企業に年上部下を生かせるマネジメントに関して取材を申し入れたが、ことごとく断られる始末。それだけうまくいっている企業がないことの証である。そんな苦しい執筆の道のりを通じて、着手した課題の実像がリアルに見えてさらに気が滅入ってきた。
年上部下の小手先の指導法を指南するにとどまらず、日本企業の強さの源泉であった男性正社員中心の年功序列型ピラミッド組織の崩壊を受け入れ、次の時代の組織のあり方を考えるという壮大なテーマに挑むことになると分かったからだ。求められていたのは、安直な欧米型経営輸入で失敗した成果主義の二の舞を踏まないこと。グローバル化とセットで盛んに喧伝されるダイバーシティマネジメントをそのまま移植するのではない、日本型ダイバーシティマネジメントを丁寧に提案することだった。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授