【最終回】ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その7エグゼクティブのための人財育成塾(2/3 ページ)

» 2011年12月07日 08時00分 公開
[井上浩二(シンスター),ITmedia]

巻き込みプランの具体化

 プロジェクトを成功させるための確度を上げるには、プロジェクトに必要なリソースを定義し、そのリソースをいかに調達するかを明確にしておかなければならないことは言うまでもない。今回のプロジェクトでは、目的・スコープとも変わり、更に取り組む内容が具体的になったので、そのためのプランをこの段階で策定しておく必要がある。以前紹介した「目標設定と巻き込みプラン概要シート」を思い出して欲しい。(ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その5)このワークシートでは、プロジェクトのゴール、ゴール達成に必要な取り組み、達成のために必要な巻き込みの概要を定義することになっている。今回必要な取り組みを大別すると、

 ・学習塾A社で展開できるコンテンツの整理と電子書籍化(他コンテンツへ転用可能なアプリ開発)

 ・学習塾A社の教育プログラムと連動した雑誌、書籍の企画方針の策定とA社での推奨販売

 ・紙媒体、電子書籍と連動するネットでのプロモーションのプロトタイプ作成(FB、ツイッター、ブログなど)

となる。そして、この取り組みを行うために必要な巻き込みの対象は、

 ・学習塾A社の教務部、講師陣、および塾生とその親

 ・豊かな生活社の自然科学系コンテンツ編集部と著者陣

 ・電子書籍化、およびこれと連動するプロモーションサイト構築のためのITソリューションプロバイダー

となる。この巻き込み対象と現在の関係、および外部の巻き込み目的を整理したものが下図「関係者マップ」である。

関係者マップ

 「関係者マップ」では、良好もしくは強力な関係を赤線、ニュートラルな関係を黒線、現在の状況が分からない関係を青線で示している。(ネガティブな関係がある場合は、黄色線で記述)今回のプロジェクトではこの図から遂行上重要なポインが3点あることが読み取れる。

 ・自社内の峰岸編集長を軸とした自然科学系担当者が積極的に動き、必要なコンテンツの整理と企画を行ってもらえるようにする。

 ・学習塾A社の伊藤室長から先の巻き込み対象者と伊藤室長の現在の関係性が見えていない。巻き込むために誰に対してどのような働きかけをすべきか早急に対応する必要がある。

 ・今回のプロジェクトでは必須なITソリューションプロバイダーとの関係ができていない。中野室長を軸に活動内容を決める必要がある。

 このように、「関係者マップ」を作ると、巻き込みが必要な対象と現状の関係、そしてどのような方針で活動すべきかの見える化が行える。このようなプロジェクトばかりでなく、日々の実務を行っていく際にも、全体像を把握して漏れなく必要な対応ができるように活用してもらいたい。

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