自分たちの身を守るために傍観を決め込んだり、自己中心だったりしてはならない。自己主張をしなければ、事態は動かない。
新春なので、企業内のテーマに絞らずに、政治・経済にまで対象を若干広げた議論を試みようと思う。ちょっとキナ臭い話題になるが、今回は敢えて火中の栗を拾う。
このままでは日本経済はどうなる、日本企業はどうなる、国民生活は疲弊から立ち直ることができるのか。焦眉で喫緊の課題である東日本大震災の復興もさっぱり進まない。血のにじむ善意の義捐金がいまだに十分に行き渡っていないで停滞しているというではないか、このままでは日本は没落する。
それにはいろいろ要因が考えられるが、まず第1に政治の貧困だ。欧州危機、米国の停滞、新興国の不振などの影響で浮上できない日本経済が、政治のせいでますます悪化している。その政治に対して、国民はもっともっと怒りをあらわにし、声を大きくして、行動に表わしていかなければならない。自分たちの身を守るためにだ。傍観を決め込んだり、諦観にかられたり、自己中心だったりしてはならない。
しかし、日本人特有の気質が邪魔をする。惻隠の情、あうんの呼吸、集団心理、恥の心、世間体を重んじる、流されやすい、長いものには巻かれろ、物事は気の持ちよう、タテマエとホンネの使い分け、喉元過ぎれば熱さを忘れるなどなど、日本人の文化がマイナスに働くと心底から怒ることができないようになっているのだ。それでは、事態は改善しない。
国外の文化は、その多くが素直に怒り、素早く行動に移す。例えば、事の良し悪しは別にして現象のみを捉えるなら、昨年「アラブの春」の嵐が起き、複数の国で独裁者がひきずり降ろされたのは、怒り、そして行動を起こした民衆の力だ。
また、つい最近の不法操業の中国漁船員による韓国海洋警察隊員殺傷事件でも、韓国民の怒りは凄まじく、ソウルの中国大使館前で漁業団体や保守団体などのメンバーが中心になって、抗議行動が連日行われている。その怒りは、弱腰政府に対しても向けられている。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授