ビジネスを伸ばすためには世界を1つのマーケットとして捉え、展開する必要がある。そこで求められるのは人として尊重し合えること。
わたしは英国系航空会社で客室乗務員として勤務した後、出版社や新聞社で書籍の編集を行い、2006年にコミュニケーションエージェンシーを設立し現在6年目になります。客室乗務員から編集という転身に驚かれることがありますが、「人に会い、コミュニケーションの結果として何かをアウトプットする」「人と人をつなぐことが好き」ということもあり、わたしの中では一本の線上にあります。現在は、コミュニケーション手段が多様化する中で、企業やリーダーのコミュニケーションをサポートする業務を行っています。
グローバル化といわれて久しいですが、インターネットの普及により、コミュニケーション手段が多様化し、世界中でいろいろな人が直接さまざまな情報を手にできるようになりました。一方で、だからこそコミュニケーションが大切だともいわれます。「グローバル時代に求められるコミュニケーション」とは改めてどんなものでしょうか。
わたしは仕事を通じて多くの経営層に会い、インタビューや話を聞く機会があります。これまでに100人以上の経営層に会いました。業種は多岐にわたります。その中で、厳しい状況で成果を残しているリーダーに、コミュニケーションにおいて共通している点を見つけました。わたし自身も小さいながらも企業を経営しながら、部下や協力者と接する際にこれらを心がけるようにしています。
これから、100人以上の経営層をインタビューする中で見出した、グローバル時代に求められるリーダーのコミュニケーションについて6回に分けて解説したいと考えています。
グローバル時代といわれる中で生き残るには、「スマートリーダー」が必要だと考えています。スマートリーダーには何が求められるでしょうか。
ニューヨークタイムズのコラムニストで、『フラット化する世界』(日本経済新聞社刊)を記したトーマス・フリードマン(Thomas Friedman)氏は、2011年12月17日の記事で次のように述べています。
水族館を魚のスープに変えるのは簡単だが、魚のスープを水族館にするのはむずかしい。ただ今は魚のスープを水族館にしないといけない時代、つまり、それぞれ勝手に動いている魚を一つにまとめ上げ、コミュニティを形成しなければならず、それをまとめ上げられるリーダーが求められている。
一方通行で組織を引っ張る時代は終わった、アメとムチを使い「命令と統制」で人々に力を行使する古いシステムは通用せず、「つながりコラボレーション」して力を引き出す能力が求められている。
グローバリゼーションとIT革命により、力が組織に移り、リーダーシップも、パフォーマンスを求める威圧的なものから、人の心の中にある、コミットメントやイノベーション、願いをインスパイアする(もたらす)、インスピレーショナルリーダーシップが求められつつある。
魚を一つの水族館に戻して泳がせるのは簡単ではないが、勇気がある特別なリーダーが求められている。
スマートリーダーとは、「つながり、コラボレーションで能力を高め、、コミットメントを引き出し、インスピレーションを与えられるリーダー」と定義したいと思います。
それでは、スマートリーダーに求められるコミュニケーションとはどのようなものでしょうか。100人以上の経営層にインタビューし導き出したさまざまな要件がありますが、このシリーズでは、次の5つに焦点を当てます。
1、話を聴く、質問する
2、ソフトとハード
3、アサーティブ――不快感を持たれずに自分の意見を通す
4、対話を継続する
5、まわりを味方につける――共に創り、共に学ぶ
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授