今年は何をやろうかと張り切っている人も多いだろう。しかし与えられた時間は限られており「選択と集中」が重要だ。「何をやらないか」を探し、取り組んでみてはどうだろうか。
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2012年がスタートした。新年にあたって皆さんはいろいろな目標を立てただろうか。目標を明確にすることは大切だが、「まず何をやめるか」を考えることも重要ではないかと最近感じる。そのことについて解説する。
<事例>
ある広告代理店の経営企画部のC部長は、来年の抱負を年末年始の休暇中に考え、新年最初の会議で発表するようにと部下に指示を出した。会議当日。
C部長:年末に新年の抱負について考えてくるように話したが、みんな考えてきたかな?
A君:今年はオリンピックなど大きなイベントがあるので、それに向けて予定されている○○の販売のキャンペーンを積極的に実施したいです。
Dさん:昨年○○の分野を深めたいと思っていたのですが、それが十分にできなかったので、それを深めていきたいです。
Mさん:○○のことに関心があるので、そのことについてセミナーに参加したり、勉強会に参加したりして、勉強してみようと思います。
O君:新規クライアントを10社獲得したいと思います。
それぞれの抱負を元気よく語る部員たちを見て、C部長は満足げな顔でうなずき、みんなの話を聞いている。そしておもむろに口を開いた。
C部長:みんな、すばらしい目標を立てているな。ぜひ実践してほしい。ただ一方で、何かやめたらいいと思うことはあるか?
全員:えっ!?
その質問に全員きょとんとしている。
「これをしよう」「あれをしよう」「あれもやりたい」「これもやりたい」
抱負や目標を立てるというと、ついこのような「○○しよう」「○○したい」という目標を立てがちである。
そのように目標を立てるのももちろん大切だが、一方で、時間は限られており、「選択と集中」も重要である。「何をやらないか」ということを考えてみることこそが今求められているのではないだろうか。
C部長はそこに気付き始めており、いろいろな抱負を語る部下たちを褒めつつ、「何かやめたらいいと思うことはあるか?」という質問をしている。部下たちはそのような考え方を持っておらず、何も答えられなかった。
「やめることはないだろうか」
社内のコミュニケーションや仕事の進め方でやめるべきことはないだろうか。うすうす気付いているが、やめられないことを新年を機に改めてやめてみるのはどうだろうか。
やめてみることでどのようなメリットがあるだろうか。
1つには、やめることで新しい発見があるのである。わたしの場合、お恥ずかしながら少し酒を飲み過ぎる傾向があった。それをやめようと決め、スポーツジムに通い始めた。スポーツジムで汗を流すと、体の調子がすこぶるいいということもあるが、食事を美味しく食べられるようになった。日々何か不満があったわけではないが、お酒をやめたことでそれまでに気付かなかった発見があったのである。
2つには、やめることで自分の時間ができる。社内でいろいろと開かれる会議。1時間以上かけて議論しても、結局「もう少し考えたほうがよさそうだから、次回までに検討しておこう」となっているものはないだろうか。その場で結論が出ない会議をやめることで時間が生まれ、別のことに仕事を当てることができる。本当に考えるべきことを考える時間ができるだろう。
3つには、自分が楽になる。やめなくてはいけないと思っていたことをやり続けると罪悪感を持っていたりする。そこから解き放たれると、楽になる。例えば、極度の負けず嫌い。それを捨ててみるとどうだろうか。
何かを始めることも大事だが、何かをやめることで得るメリットははるかに大きい。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授