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» 2012年05月24日 08時00分 公開

一部の指導者は知っている、「ゆとり世代」を即戦力に育てる魔法ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/3 ページ)

[伊庭正康,ITmedia]

あえて、丁寧に教えないでおこう

 「主体性が乏しい」といわれる彼らですが、彼らの主体性をひきだす極意の1つに「敢えて、丁寧に教えない」という技術があります。

 指導者には2つのタイプがいます。「教える人」と「問う人」です。前者を「指示型」、後者を「指導型」と呼ぶと分かりやすくなります。後輩を教えるとき「自分ならこうする」と教える人は指示型、「何をすべきだと思う?」と問うのが指導型。もちろん、メンバーの習熟度によって使い分ける必要はありますが、指導者は言葉のとおり指導型であるべきです。

 彼らは「指示された方がラク」といいます。しかし、ミスをした時などに「まだ、教えられてませんよ」と明るく言い訳するのも彼らではないでしょうか。これこそが「指示型」の弊害。「指示型」の教育は、彼らから主体性を奪ってしまいます。彼らに教えておきたいことは「自らが考え、自らが動くチカラ」。つまり、主体的に考えて動くことを教えておきたいところです。

 例えば、「あえて丁寧にしない」行為は、一見すると粗雑なように聞こえるかもしれませんが、彼らの主体性を育む上では極めて有効です。わたしが実施する研修では、テーブルに資料を配布することはしません。ボンッと講師テーブルに置くだけ。最初は「テーブルの人数分の資料を取りに来てください」と言うのですが、終盤になると何を言わなくとも、人数分の資料を取りに来るようになります。ささいなことですが、このささいな仕掛けを企てることが指導者には必要になってきているのではないでしょうか。

 また、もちろん「ペンを持ってきてください」も言いません。忘れたことから学ぶものもあるからです。なぜ、自分はペンを忘れたのか? 隣の人にペンを貸してもらう意味は? 貸してもらった時に感じる気持ちは? など、すべての出来事を学びの機会に変換します。場合によっては、意図的に失敗を促すことすらも指導の一つです。

 結論です。指導者は以下の2点を留意しておきたいところです。

(1)あえて、丁寧にしない。

(2)失敗から学ばせる機会を作る。

一人ひとりに「WILL(意思)」を確かめよう  

 部下にミッション(やるべきこと)をどのように伝えていますか?「2年目だから、今回は“コレ”をお願いしたい。よろしく!」といったような一方的な与件提示型では、彼らは本気になりません。きっと、彼らは“コレ(ミッション)”に対して及第点をめざすのが現実ではないでしょうか。言われたことをキチンとやる人に育てるなら話は別ですが、そうではないかと思います。だからこそ、彼らの「意思(WILL)」を確かめることをお勧めします。

 例えば、部下にミッションを伝える時にも「WILL」を確かめます。

「今、挑戦してみたいことある?」

「う〜ん、実はコレといってないんですよね」

「では、将来になりたいことは?」

「小説家です。」

「そうか。じゃ、小説家になった時、今の営業の経験を生かすことはできるかな?」

「色んな人たちと会話できるので、その出会いは財産になると思います。」

「では、何人と会いたい?」

「う〜ん。1000人くらいの方とは話をしたいですね」

「いいね。1年で実現してしまわない?夢が近づくかもよ。会社の営業目標よりハードだけどね」

「いいですね。一石二鳥ですね!」


 この会話は実際にあった例です。大事なポイントは部下一人ひとりのWILLを把握していること。WILLを把握した上でなら、より高い挑戦的なミッションを設定することも可能です。

 また、彼らが相談に来たときにも同じです。まず、彼らの「WILL」を確かめましょう。「で、どうしたいと思っているの?」きっと、最初は戸惑うと思います。上司は答えを出してくれるヘルプ機能だと思っているからです。しかし、それでは成長が途中でピタッと止まります。ビジネスは年齢やキャリアを重ねるごとに、自分で判断が行うシーンが増えるからです。判断する時に最も必要となることは「自分の意思」です。「上司がこういったから……」では人もついてきませんし、仕事への覚悟も持てない人になってしまいます。

 結論です。指導者がこの2点を意識するだけで、彼らの成長は加速します。

 (1)ミッションを付与する前に、彼らの「WILL」を把握しておく。

 (2)相談に来た時は「WILL」を確かめる。

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