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» 2012年05月24日 08時00分 公開

一部の指導者は知っている、「ゆとり世代」を即戦力に育てる魔法ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(3/3 ページ)

[伊庭正康,ITmedia]
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仕事の「意味づけ力」を鍛えよう

 「TOEIC 800点、留学の経験もあります……」

 「何か得られたことはありますか?」

 「見分を広げられました」

 これは就活時における学生との面接シーンを描写したものです。面接をする人なら分かると思うのですが、このパターン多くないですか?わたしは、数えきれないほどの「留学経験を自負する学生」「ボランティア経験を売りにする学生」「サークルの“副”部長でリーダーシップを発揮したと言う学生」と出会ってきました。残念ながら、わたしは評価をつけることができませんでした。なぜなら、経験の「意味づけ」ができていないからです。

 むしろ、「コンビニでバイトをしていました。お店はもちろんのこと、その街を元気にするために、店の中でも外でも身だしなみを整え、“元気な挨拶”をするよう心がけていました。わたしの誕生日を20人の常連さんに祝ってもらったことが最高の感動体験になりました」と語る学生を評価したくなりなりませんか?さて、この違いは何なのでしょうか?

 違いは「意味づけ力」の差です。わたしは意味づけには4つの視座(レベル)があると考えています。

 ・意味づけのLevel 1 「自分の能力が高まる」ことが嬉しい

 ・意味づけのLevel 2 「誰かを良くする」ことが嬉しい

 ・意味づけのLevel 3 「チームや組織を良くする」ことが嬉しい

 ・意味づけのLevel 4 「地域や社会を良くする」ことが嬉しい

 つまり、前者のTOEIC 800点、留学で見分を広めた学生の意味づけ力はLevel 1。自分の域を出ていません。一方で一見するとオペレーショナルなコンビニのバイトながらも地域を良くするために奮闘していた学生の意味づけ力はLevel 4です。

 ほとんどの仕事は地道なことの連続です。地道な仕事を通じて意味づけをする感性こそが、仕事の現場では必要なのではないでしょうか? 留学といった特別な経験は、お金と時間があれば買うことができます。しかし、意味づけ力はお金で買えません。身に付ける方法は、ただ一つ。指導者が教えてあげることです。

 きっと、新人の多くが入社前に抱いていた「夢のキャリア」と現実の「単調な業務」とのギャップに苦しむと思います。そこで、指導者が介在価値を発揮するわけです。

 「君のその仕事が、100万人の命を救っているのだよ。想像してごらん」

 「その仕事がなかったら、世の中はどうなると思う?」

 「今を乗り越えれば、乗り越えた向こう側には誰が待ってくれているのかな?」

 結論です。指導者は、部下の「意味づけ力」を鍛えましょう。彼らは仕事に誇りを感じるようになるはずです。

「みなさん」と言わないでおこう 

 「みなさんには、この山場を乗り切って頂きたい」

 わたしは、職場のリーダーが「みなさん」と言ってしまうシーンに出くわすたびに昭和を感じてしまいます。今の若者を味方につけることが目的であるなら、「みなさん」ではなく「われわれ」と言うべきです。なぜなら、今の若者は「絆」を大事にしています。報酬より絆。義務より絆。仲間のためなら徹夜だってします。

 だとするなら、先ほどのメッセージはこのようになるはずです。

 「今こそ、われわれは団結しよう。そして、この山場を乗り越えて、その暁には、みんなで……」と語ったほうが、絶対に心はつかめます。

 迎合する必要はありません。上司は上司。先輩は先輩です。あくまでコミュニケーション技法の話です。ぜひ、トライしてください。

最後に(指導者に求められるバージョンアップ)

 「ゆとり世代」をレッテル付けすることは間違っているという声を聞きます。わたしも同感です。微妙な違いを必要以上に顕在化させることほどの愚行はありません。しかし、一方で若者に対するマネジメントで苦労する現場リーダーが多いのも事実です。いつの時代でもそうであるように、若者の特性は変化しているからです。

 この変化を受け止めることが、指導者が指導者たる第一歩ではないでしょうか? 例えば、研修中にガムを噛みながら受講する者、椅子の上に三角座りをする者……彼らは、決していい加減な若者ではなく、いわゆる「超」難関の大学を卒業した、学習意欲も極めて高い新入社員です。英語も話せます。でも、納得できなければ3カ月後にアッサリと辞表を書いたりもします。

 これは、ダメなことなのでしょうか? わたしは、仕方ないと考えます。今はグローバルスタンダードで考える時代です。外資系のワークショップでは研修中にガムどころか、ドーナツを食べたりしますし、長い脚をバ〜ンと放り出しながら座る人もします。彼らは良い条件があればスグに転職します。

 そしていま、わたしが行う大手企業の研修では、30人いれば数名は海外出身の外国人です。だからこそ感じます。指導者が常識のバージョンアップをしておくことこそが最も大事ではないでしょうか?

 今は、まさに過渡期です。世代の違いを受け止めつつ、このコラムが指導方針のバージョンアップのヒントになればこれ程嬉しいことはありません。

著者プロフィール:伊庭正康

株式会社らしさラボ 代表取締役

1969年元日生まれ。リクルートフロムエー入社後、リクルートのHR部門に転身。営業職、および営業マネジャーして活躍。両社において累計1000社の採用に携わり、プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回。累計40回以上の表彰を受賞され、トップセールス、トップマネジャーとなる。その後、営業部長、リクルート関連会社フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。20年にわたってリクルートグループで「好業績を生み出す営業組織づくりの専門家」として活躍。在籍中よりリクルート社内はもとより、クライアントから売上向上に向けたコンサルティング、研修のオファーを受ける独自のポジションを確立。実効性の高いカリキュラムと仕事の本質を示唆するファシリテーションが人気となり、2011年に独立。らしさラボ設立。引き続き、リクルートグループをはじめ、業種を問わず大手企業からベンチャー企業のオリジナル研修カリキュラム、営業力向上カリキュラムの開発の範囲を拡大。研修スタイル最近では、研修会社各社へのプログラムコンテンツの提供も行っている。著書に「がんばらない仕事術(マガジンハウス)」「ゆとり世代を即戦力する5つの極意(マガジンハウス)」がある。


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