ちまたでよく耳にするのが、「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」。この定説は決して間違いではないのですが、これだけ多種多様なワインと料理(食材)があふれる現在、それだけではもったいないと言えるでしょう。とはいえ、なかなか単純明快にはいかないテーマであるのも事実です。
今回はベースになるような考え方を紹介します。
料理とワインの考え方のポイントとして、次の6つが挙げられます。
(1)しっかりした味の濃い料理には、同じように濃厚なワインで「強さ」を合わせる
(2)オマールやフォアグラなど料理の食材の「格」が高いときは、ワインの格(=しばしば「価格の高さ」)で合わせる
(3)ソースや肉、魚の見た目とワインを「色」で合わせる。例としては、ホワイトソースや、鶏肉など見た目に白い料理には白ワインを合わせる
(4)「シャンパン」は、ワインの中でも料理との相性の幅が広く、食前からメイン、あるいはデザートまで1本で通すことのできる、オールマイティーな頼もしい存在
(5)中華やベトナム料理などいわゆるエスニックと呼ばれるカテゴリーの料理には、「ロゼワイン」が合わせやすい
(6)「日本のワイン」は個性の強すぎない優しい味わいを持っていることが多いため、和食(焼き鳥、うなぎ、天ぷら、煮物など)に合わせやすい
最後に、忘れてはならないのが、その土地の食材は、その気候風土の中で育まれた同じ産地のワインがぴったりと合うということです。フランスでは相性の良さを「マリアージュ(mariage)=結婚」と、ロマンチックに表現します。
ただ、最初はそれぞれのワインの味わいがなかなか想像できないと思います。少しぐらいの失敗は恐れずに、それも経験のうちと割り切って、積極的にいろいろな組み合わせにチャレンジしてください。そのうち意外な面白い組み合わせも見つかるのでは。ちなみに、私はタンニンのあまり多くない軽い赤ワインに、握りずしの赤貝がマッチしたのに驚きましたよ。
松浦尚子
(有)サンク・センス代表取締役社長
ボルドー国立大公認ワインテイスター
神戸大学教育学部卒。教育・出版会社ベネッセコーポレーションに勤めた後、フランスに渡り、世界の権威であるボルドー大学ワイン醸造学部が主宰する、日本人では数少ないワインテイスター専門家資格を取得。広島県の第3セクターのワイナリー設立にかかわり、米国・ボストンを本拠地とする投資会社に籍を置いて、日仏間で働く。通算5年間フランスに滞在した後、2002年秋に帰国。滞在中には、難関フランス文部省認定のフランス語資格試験DALFも全て取得する。帰国後、2003年4月に有限会社サンク・センスを設立し、代表取締役に就任。「フランス、ワイン、食」をテーマに、さまざまな切り口からこれまでにない発想でワインセミナー、イベントを中心にプロデュースを行う。2005年1月に立ち上げたサンク・センスワインCLUBには、ワインを軸に旅やグルメ、趣味など幅広い分野に関心を持つメンバーが集い、これまでにない質の高いコミュニティを形成している。また、フランス大使館主催事でのプレゼンターや六本木ヒルズクラブでのワイン講師、経営者を中心としたビジネスマン向けのワイン講演も数多くこなし、実績は多数。これまでに取り上げられた新聞、雑誌、ラジオ出演は数え切れない。富裕層向け雑誌や、大手都市銀行が運営するビジネス情報サイトなどでコラム連載も手掛け、多彩に活躍している。
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