国際的な交渉や会議の場面において、優秀な通訳がいるのといないのとでは、その結果は大きく異なります。通訳を雇う際の注意点などを紹介します。
今回は、通訳の話題を取り上げましょう。英語が話せない、あるいはあまりうまくない人と交渉をしたり、会議をしたりする場合、通訳がきわめて重要な役割を果たします。にもかかわらず、その重要性は正当に評価されていません。
国際的な交渉や会議は複雑なテーマを扱うことが多く、その上、文化的背景や言語の相違によって、複雑なテーマはさらに理解しにくくなります。
私の知人に、日本でビジネスを大成功させているアメリカ人がいるのですが、この人は個人的に通訳を雇い、必要に応じて彼女をハワイから東京へ呼び寄せています。この知人は、ビジネスにかかわる専門用語を理解でき、行間も読める通訳の存在が非常に重要であることがよく分かっているのですね。直接言葉にしづらい事柄なのに、ストレートな物言いで通訳されてしまい、微妙な意味合いが失われるというケースは多々あります。間接的なメッセージを汲み取れる通訳がいれば、ビジネスを成功させる公算は大きくなるでしょう。
重要な交渉に臨む際は、地元のいわゆるコーディネーターを利用することをお薦めします。現地で連絡係を務め、ビジネスパートナーとの会議や共同作業のための準備をし、会議中は通訳をしてくれるのが、コーディネーターです。こうしたコーディネーターは、言語を逐一訳すだけでなく、会談の内容や作業の意味を理解しているため、異文化の橋渡し役として、さらには交渉戦術のサポート役としても力になってくれるはずです。
ここで、通訳を雇うときに気を付けるべき、一般的なアドバイスを紹介しておきましょう。
(1)会議前に、交渉議題やトピックを通訳にあらかじめ伝えておくこと。プレゼンテーション用の資料があるなら、これも事前に渡す。
(2)聞き慣れない言葉や難解な用語は口にしない。シンプルな言い回しを心掛ける。
(3)「できないわけではない」といった、二重否定語法は避ける。混乱を招くもとだ。
(4)コンセプトやアイデアは、さまざまな言葉や事例を用い、違う角度から繰り返し説明するようにしよう。
(5)ホワイトボードなどに要点を書き出す。通訳が要点を誤解することなく、適切な説明をするのに役立つだろう。
ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)
ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。
世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授