「ソーシャルメディア×事前期待のマネジメント」 この新発想でお客さまとの継続的な関係づくりを実現するとビジネスが拡大する。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
もし、モノやサービスといった商品に対し、お客さまが購買活動をする前に「共感」を獲得できたら、大きなアドバンテージを得ることができるのではないでしょうか。
つまり、買う前にお客さまをファンにしてしまい、「共感」を獲得することで購買活動に入る前にライバルとの勝負をつけてしまうという発想です。コモディティ化したモノやサービスの価格競争やアフターサービス合戦から脱却して、潜在的なお客さまも含めて買う前にライバルと差をつけてしまおうというわけです。
モノやサービスで差別化が図れなくなった企業は、購入した後のアフターサービスで差別化を図ろうとさまざまな試みをしてきます。しかし、差別化のステージはさらに次のステップに進みつつあります。
お客さまの購買プロセスを大きく3つに分けると、購入前、購入時、購入後の3つのフェーズで考えることができます。従来、購入時のモノやサービスそのものでの差別化が企業活動の主戦場でしたが、さらに進んだ企業は、購入前の潜在的なお客さまへのアプローチを開始しています。
ライバルに差をつけたい企業の次の一手は、購入前の攻略にあるといっても過言ではありません。そのための有効な手段として、最近全世界的に拡大しているソーシャルメディアの普及を見逃すわけにはいきません。
近年、サービスに科学的アプローチを適用して、体系化し、科学的、工学的な評価、分析を行なう「サービスサイエンス」が注目されています。サービスサイエンスの目的は、サービスを科学的にとらえるだけでなく、実際のビジネスで効率よく、付加価値の高いサービスを提供していくことにあります。
モノやサービスの成功の鍵は、お客さまの満足度にあり、その満足度は事前の期待値にどこまで応えられるかという達成度で決まると考えています。
サービスサイエンスの世界では、感動するサービスの提供には6つのサービス品質(正確性、迅速性、柔軟性、共感性、安心感、好印象)のうち、特に共感性が大切だと考えられています。それは、お客さまの事前の期待に応えるためには感受性や傾聴力、観察力といったお客様のことを感じ取り、理解する力の発揮が最も有効だからです。
その一方で、お客さまは企業や店舗など、サービス提供者の気遣いや思いやりに「共感」するのです。(図1)
そしてお客さまから共感を獲得するための方法として、ソーシャルメディアの活用は非常に有効ではないかと考えています。ソーシャルメディアは、リアルの対面販売の場合と同様に双方向でのコミュニケーションが可能であるとともに、リアルの場合以上に親密な会話(というよりも対話のイメージが近い)が可能になるからです。
しかし、ソーシャルメディアを活用すれば誰でも簡単に共感してもらうことができるのでしょうか? そこにはお客さまのことを考えて、もう一歩踏み込んだサービスサイエンスの考え方である「事前期待のマネジメント」が必要になります。
事前期待の持ち方には「共通的な事前期待」「個別的な事前期待」「状況で変化する事前期待」「潜在的な事前期待」など、さまざまな種類があります。ソーシャルメディアを活用することで対面販売の時以上に「事前期待を読む」ことが可能になります。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授