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» 2012年08月31日 17時00分 公開

やる気が出ない本当の理由人生はサーフィンのように(3/3 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),ITmedia]
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傷ついた過去の自分を癒す

 ここまでお話してきたように、やる気が出なくなった根本的な原因が、これまでの「認めてもらえなかった」「励ましてもらえなかった」「褒めてもらえなかった」「評価してもらえなかった」体験にある場合があります。

 本当はやる気が出てもいいのにやる気が出ないのは、傷ついたもう一人のあなたからの「存在に気付いてほしい」という合図でもあります。だったら、その存在に気付き、癒してあげましょう。

 椅子を2つ用意し、向かい側の椅子にもう一人のあなたをイメージして座らせ、よく話を聴いてあげます。そして、傷ついているもう一人のあなたをあまり見ようとしてこなかったことを謝り、もう心配する必要はないこと、今の自分にはさまざまな知恵と強さ、賢さと行動力があることを理解してもらってください。

やる気を出す許可を与える

 「やる気が出ない無限ループ」から抜け出すためには、「やる気を出してもいいんだよ」と、自分に許可を与える必要があります。

 「やる気が出ない無限ループ」に入っている人の口グセに、「どうせ何をやっても無駄」「いつもうまく行かない」というのがあります。このような思考のクセは、やる気を出し始めようとする自分にブレーキをかけてしまいます。

 思考習慣なので、無理に「考えないようにしよう」「やる気を出そう」などと思う必要はありませんが、「あっ、またいつもの『どうせ』が出てきたな」と気付いたら、「やる気があってもいいかも」「自分にも、やる気があるかも」と、やる気を出し始めることに許可を与えてください。

過去のポジティブな体験を思い出す

 私たちは過去の体験を五感で記憶しています。過去のポジティブ体験を、眼に映ったシーンや聞こえていた周りの声や音、味や臭い、何かに触れた感触を使って思い出すと、そのとき体験したうれしさやワクワク感を思い出せます。その証拠に、学生時代に聴いていた音楽を聴くと、一瞬で“あの時代”や“あの時の気持ち”に戻れますね。

 椅子にゆったりと座り、目を閉じて、過去のポジティブな体験を思い出してみましょう。まぶたの裏側にそのときのシーンを映し出したり、聴いていた音楽をかけたり、親や先生、友達や同僚、上司から言われたうれしかった言葉を思い出してみます。こうすると、「やる気があった過去の感覚」を思い出せるでしょう。

やる気が出るパターンを観察する

 私たちは物事が思い通りにならないとき、「いつも」「常に」など、物事を一般化(すべてがそうであるように考えること)して考える傾向があります。思考は感情を引き寄せるので「どうせ今回もやる気が出ないだろう」というように、出ようとするやる気にブレーキをかけます。

 けれども実際には、24時間365日いつもやる気が出ない人は稀(まれ)です。好きな食べ物があればテンションが上がるでしょうし、好きなタイプの異性が目の前にいれば「いい女(男)だなあ」と少しは気持ちがたかぶるでしょう。

 仕事でもそうです。以前、私の知人はこう言っていました。「マニュアル化された仕事のほとんどはやる気が出なかったが、突発のクレーム処理時に自分で段取りを考えているときだけはやる気が出た」と。その方にとっては、クレーム処理にも関わらず「自分で段取りをすること」が楽しかったようです。

 このようなわずかな感情の動きを観察してください。自分にもやる気がある、出てくることに気付き始めるでしょう。

自分の思考に“突っ込み”を入れる

 私たちの体がこれまで食べてきたものや飲んできたもので出来ているように、私たちの思考は、これまで言われてきたことや触れてきた情報、考えてきたことの積み重ねによってできています。こうして「私=他の人より劣っている」「私=難しいことはできない」「感性より知性が大切」「仕事=厳しいものだ、楽しくないものだ」と考える思考習慣やセルフイメージを身に着けてきてしまったのではありませんか?

 「私=他の人より劣っている」という考えが無意識に浮かぶこともあるでしょう。自分のことをネガティブに考えていると気がついたら、「待てよ、私は自分のことにもっと自信を持ってもいいはずなのに、何が私に『人より劣っている』と思わせるのだろう?」「何が、私に『難しいことはできない』と思わせるのだろう?」と、「何がそう思わせるのか」の理由を考えてみてください。

 そこに明確な答えは見つからないかもしれませんが、自分が考えることに“突っ込み”を入れて、自分の思考に客観的に触れてみると、一概にそうとも言い切れないことが分かり、自分がつい考えてしまう「思考のクセ」に気付けるようになってきます。

 「あ〜、そうか。だから自分は○○だと考えるのだな」――自分の思考のもとになっている、幼いころから今までの体験を振り返るきっかけにもなるでしょう。

今までと違うことをする

 これらのステップをしばらく実践すると、「傷ついた自分」が癒され、「やる気が出る感覚」を思い出し、「思考のクセ」に気付くようになってきます。そうなると、無理に気合いを入れなくても、今までなかなか起こせなかった行動を自然に起こしたくなってくるでしょう。

 さあ! 今こそ新しい行動を起こすときです。今までと違う行動が起こせれば、今までと違う変化が起きます。その変化に気付けば、「やる気が出るモード」の新しいループに入れるでしょう。


 「やる気が出ない」と、「やる気がない」は違います。「やる気が出ない」ということは、「(今は出ていないが)やる気はある」ことを意味しています。やる気が出ないのは、それだけ傷ついているもう一人のあなたがいるのです。今まで、いろんな思いをされてきましたよね。「やる気が出る」ために、傷ついたもう一人のあなたを癒してあげてください。

 でも、やる気が出ないことを他の人や環境のせいにしたりしていると「やる気が出ない無限ループ」から抜け出せません。無限ループから抜け出すためには、「どうせ」と言いたい気持ちを脇に置いて、今できることから始めてみてください。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

NPO法人しごとのみらい理事長

1971年生まれ。自動車メーカー、ソフトウエア開発会社を経て、現職。プレッシャーの多い職場で自身が精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。コーチングや心理学の手法を実践しチーム変革に成功。難しいコミュニケーションスキルを誰もが使えるようにした「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。思考法やコミュニケーションをテーマとした研修・セミナー・講演・執筆活動を行う。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。

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