2つめの施策として取り組んだのは、直営店の経営です。現在スギ製菓は、愛知県内で「えびせん家族」8店舗、音羽蒲郡IC近くに「えびせん共和国」を展開しています。
直営店はあくまでも地元のお客様向けです。無料のお茶やコーヒーを出したり、絵画や写真などの作品発表の場として利用できるフリースペースを作ったりしました。するとお客様の声がすぐに入るようになり、新商品の試験販売やリサーチなど、販売以上の効果が経営にもたらされるようになったのです。
さらに、出店には投資がつきものです。新規店舗出店時にしっかりとした経営計画を立てることが会社全体にマネジメントを機能させることにつながり、予想を上回る成長ももたらされました。
杉浦社長は「お煎餅の味や品質が、経営危機を救ってきた」と言います。釣り針混入事件以降、2度と同じ過ちを犯さないよう品質管理活動を徹底してきました。
また、どんなに苦しいときでも開発費は惜しまずつぎ込みました。お客様から美味しいと言われる商品でなければ、OEMの話はまとまらないからです。こうして誕生した地域の特産を使った商品は、3年間で300種類ほどにもなりました。
徹底した品質管理と商品開発力が、販路開拓を行う際の後押しになっていることは間違いありません。
企業は地域に愛されなくてはならないと考える杉浦社長は、地域のイベントへの社員の参加を奨励し、自社のイベントにはまるで社員のように地域の人々を招待します。
例えば、年間20校ほどの学校を訪問し、生徒とともにトイレ掃除を行います。「最初はいやいや掃除をしている生徒も、きれいに磨かれたトイレを見ると生き生きとした表情に変わる」と杉浦社長はうれしそうに話します。
年間を通して行われている、さまざまな取り組みの一部をご紹介しましょう。
ゴミ拾い 全社員で本社工場近隣のゴミ拾いを行います。ごみを拾える人はごみを捨てない人になる、人のことを考える人になると信じられています。
50キロウォーク 取引先や同業者、地域住民も多く参加するイベントで、半分は実際に歩く人、残りの半分は水や食料を用意して歩く人を支える人として参加します。役割は1年おきに交代しますので、双方の気持ちが分かり、支えあえると考えられています。
感謝祭 お世話になっている地域住民の方々を本社工場へお招きして、せんべい工場の見学や会社のさまざまな取り組みを見ていただきます。地域の方々と交流を深めたり、ご意見を頂いたり出来る貴重な「ふれあい」の場となっています。
懇親バーベキュー 社員の家族も一緒に参加し、親睦を深めます。準備から後片付けまで社員全員で行います。こうした家族ぐるみの付き合いも盛んに行われています。
これらの取組みは、すべて社員の手で行います。参加者の喜ぶ顔を想像して知恵を出し合うイベントが、社員や地元の関係者から信頼を得ています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授