ITmediaエグゼクティブでは読者の関心の高いテーマについて、分かりやすく解説してくれるゲスト講師を招き勉強会を開催している。今回のテーマは、「中国インターネット検索から見えるマーケットトレンド」。百度 (バイドゥ)国際事業室マネジャー 高橋氏の話を聞いた。
中国インターネット検索サイト大手の百度 (バイドゥ)。その国際事業室マネジャーを務める高橋大介氏は、2008年に入社。百度のビジネスを海外に紹介し、新しい海外企業のパートナーを探しだし新しいビジネスを模索し続けている。
入社したばかりのころのことを思いだしながら、高橋氏は中国企業で受けた洗礼について話を始めた。
新任マネジャーとして、ナンバー2の地位にある副総裁クラスの人物とのミーティングの機会を得た高橋氏。百度が当時注力していたECビジネスのプランについて資料を作成し副総裁に説明を始めた。その中で化粧品販売のプランを提案したところ、副総裁はいたく感動し、「エクセレント!!」と褒めちぎった後、その場で秘書に電話をして予算を確保するように指示しはじめたという。
驚いたのは高橋氏の方だ。新任マネジャーとして多少風呂敷を広げた話をしておいて、後から打ち合わせを重ねて現実的なビジネスへと形をつけようとしていた。しかし相手は提案に関心を示すと即行動に移したのだ。
副総裁からゴーサインが出てしまったのだからやるしかない。しかし、現実のビジネスは会社側が求めるスピードに合わせて進めらなかった。
「ほんの数カ月で結果が出ないと、会うどころか、メールや電話にも応答してくれなくなってしまった。"持ち帰って検討、再度提案、さらにプランを改善"といった手順が普通だと思っていたが、副総裁クラスの人間に話をするということは、すでに下準備は済んだものでなくては大変な目にあうと思い知らされた」と高橋氏は苦笑いをする。
百度では、各サイトに評価指数を付け表示をしている。中国国内の市場動向をつかむヒントが欲しければ、キーワードを数種類使うことでいろいろなものが見えてくる、と高橋氏は話す。
例えば、「プリンタ」。これにカラープリンタ、ネットワークプリンタといったキーワードを加えて表示結果を見ると、プリンタというワードでは、プリンタメーカーの名前が出てくるが、カラープリンタとすると価格について詳細に記しているサイトが上位に並ぶ、さらにネットワークプリンタと入力すると、接続など具体的な使用方法についてのサイトが上位に出てくる。
「こうした結果を見ただけでも、中国では、カラープリンタ、ネットワークプリンタについては、確固たるブランドイメージを持った製品はないことが分かる」(高橋氏)
また、旅行などについても、広州の人たちの旅行に対する意識と上海の人たちのそれが検索によって分かるという。
「上海など大都会に住む人たちは、自分たちで旅行のプランを練り他人とは違う旅行を楽しもうとするのでオリジナルの旅に関するサイトが上位に出てくる。地方の人はまた違っていて、割合とパッケージツアーを賢く楽しむコツなどに関心が高いのが分かる」(高橋氏)
百度では海外のビジネスマンが中国という広い市場の特質をつかむために大いに役立つことをアピールしており、結果をグラフなどにするツールも開発しているという。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授