首相の頭上に流れる「8888888」──「ネット党首討論会」がニコファーレで行われ、10党の代表がTPP参加問題などについて議論を交わした。
首相の頭上に流れる「8888888」。日本のネットにとって歴史に残る夜だっただろう。ドワンゴが各政党に呼び掛けた「ネット党首討論会」が11月29日、東京・六本木の「ニコファーレ」で行われた。民主党代表の野田佳彦首相や自民党の安倍晋三総裁ら10党の代表が集まり、視聴者からのコメントが時折流れる中1時間半にわたって議論を交わした。ライブ配信したニコニコ生放送には約140万人が来訪。「フルオープン」で開放された会場には多くの報道陣が詰めかけた。
今回ニコファーレへの入場は報道関係者のみだったが、取材を希望する報道陣で開始1時間以上前から行列ができた。入り口では荷物チェックが行われ、ペットボトルの持ち込みは不可。時折SPらしき男性が姿を見せることもあるなど、ニコファーレとしては堅めの雰囲気に。
定刻通り、午後8時に野田首相ら代表が登場。日本未来の党代表の嘉田由紀子 滋賀県知事は少し遅れて登場した。司会の政治ジャーナリスト角谷浩一氏によると、討論会への参加は政党要件を満たす14党に呼び掛けたが、スケジュールが合わないなどの理由で全党はそろわなかったという。
会場の周囲360度の壁に埋め込まれたLEDディスプレイを活用しながら議論を進めたが、コメントの常時表示はせず、流れたのは数回にとどまった。角谷氏は「コメントをずっと流すと酔っ払うようにぐるぐる回ってしまう。コメントはしかるべきタイミングで流したい」と説明した。
最初に持ち時間2分で各党がメインとなる主張を述べた後、(1)TPP、(2)消費増税、(3)原発──の3つのテーマについて、基本的に各党1分ずつの持ち時間で議論を交わした。開催前には野田首相の参加をめぐって民主と自民が火花を散らしたが、実際の討論では野田首相と安倍総裁との直接バトルという場面はなく、両氏とも落ち着いて主張を述べたという印象。むしろ小規模党から野田首相を厳しくただす場面が目立った。
各テーマの終了時に周囲にコメントが流され、各党への賛否や「8888888」(パチパチパチで拍手の意味)、「キタ━━(゚∀゚)━━ !!!! 」といったニコニコらしいものも表示されていた。
最後に各党の代表が視聴者に語りかけて終了。野田首相が高校の無料化などの実績を挙げながら「子どもや若者を大切にする社会を作りたい」と述べるなど、ニコ生の視聴者を意識してか若者向けのメッセージが多かった。
公式発表では、総来場者は140万3551人。コメントは50万超に上り、負荷対策としてコメント投稿が一時停止する場面も。安倍総裁を支持するコメントが多かったようだが、掲示板などでは新党日本の田中康夫代表や新党大地の鈴木宗男代表への好評価も多く、「小規模政党にとってはかなりプラスになる仕組みだ」という声もあった。
後から視聴できる「タイムシフト放送」は会員なら誰でも再生できる。視聴はネット党首討論会のページから。
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