「儲かるアイデア」とはどんなものか? 「儲かるアイデア」とは、「消費者の“あったらいいのに”を叶えるアイデア」。では、その「あったらいいのに」はどこから生まれてくるのだろうか?
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
不景気な時代のリーダーシップのあり方は、トップダウンだけでも、民主的だけでも、うまくいきません。ステーブジョブズのような天才でない限り、アイデアが泉のように湧き出す組織をつくるこそが、不景気の時代をチャンスに変えるリーダーの姿です。
しかし、わたしが接した3万社の企業と接点から観察すると、ほとんどの会社は「社長の一声」で全社員が走り出したり、「コンセンサス」を大事にしすぎて、とがったアイデアが掻き消される場合がほとんどです。
はっきり申します。時代の変化はわれわれの想像以上に早くなっています。社長1人の感性で追いつけるような時代ではありません。また、コンセンサスをとっている間に、優秀な社員は他社に転職することを考えます。今はそんな時代です。
ここで、伝えたいポイントは1つ。これからのリーダーには「儲かるサービスを創出する仕組み」を作ることが期待されています。ここでは、あなたの職場に「儲かる仕組み」を装着する方法を紹介します。
そもそも、「儲かるアイデア」とはどんなものなのでしょうか?「儲かるアイデア」とは、「消費者の"あったらいいのに"を叶えるアイデア」のことです。では、その「あったらいいのに」はどこから生まれてくるのでしょうか?実は、消費者もしくは消費者から近い身内の「愚痴」の中に宿っています。儲かっている会社はこのことをしたたかなまでに知っています。
「子供が風邪をひいても会社を休めないのよね。係長は分かっているのかしら」
「何でもいいと言われると困るのよね。夕食のメニューを考えるのは大変なのよ」
このような「ありがちな愚痴」すらも、実は大きなビシネスチャンスなのです。
「日本を救う中小企業100」に選出されたNPOO法人フローレンスは病児児童を預かる保育サービスを展開する注目の企業です。設立から5年で2億円を超えるまでになっています。また、ご存じの料理のレシピ検索サイト「クックパッド」も夕食の献立に苦労する主婦の愚痴をビシネスに変えて大成功している会社です。設立から、わずか10年強で122万品を超えるレシピを1200万人のユーザー閲覧する、もはや社会インフラとなるまでに発展しています。
しかし、リーダーが1人で愚痴を聞くことは、賢い方法とはいえないでしょう。短時間のうちに100や1000のアイデアから1つを選ぶ状態を作ること。くら寿司では年間に1000個の試作を行うそうですが、そこから定番商品になるのは2~3個だといいます。アイデアのスクリーニングにおいては、数は質を凌駕するのです。
そこで、お勧めしたい特効薬があります。それが「アイデアコンテスト」です。有名な事例としては小林製薬の社員提案制度があります。「ブルーレットおくだけ」「アイボン」「熱さまひんやりジェルマット」などユニークな商品を開発し続ける小林製薬ですが、すべて社員提案制度から生まれた商品です。年間に3万件を超えるアイデアが集まるというのですから、驚異の仕掛けと言わざるをえません(1人あたり年間平均27個)。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授