では、どうすればコンテストを成功させられるのでしょうか?わたしが開発し、コンサルテーション先で提唱している、メンバーを巻き込むためのステップ、「DREAMステップ」を紹介します。DREAMとは各ステップの頭文字をとっています。ポイントは次の通りです。
(D)【Dangerous】まず、職場に「危機感」を伝播させよ!
まず、危機感がないとコンテストはお遊びになってしまいます。「このままではマズい」「じゃ、どうしたらいの?」「コンテストで意見を言おうよ」という流れをつくることが必修です。しかし、長々と説明をしても危機感は伝わりません。コツは「説明をせず、シンボルを見せる」ことです。例えば、以下のものも有効なシンボルです。
(R)【Recruit】本気のメンバーだけを事務局メンバーとして「集めよ」!
リーダー1人で全体を巻き込むことは不可能。事務局となるメンバーが不可欠です。立候補で募ってみましょう。その上6人以下に絞ってください。1〜2人しか応募がなかった場合は、自分から「一緒にやりたい」人を勧誘することになります。
(E)【Entry】コンテストに全員に「参加させよ」!
いよいよ全員を巻き込む仕掛けです。原則は対象者を全員とすることです(できれば社外パートナーや派遣スタッフも)。エントリーシートは1〜2枚のフォーマットを用意し、フォーマットを埋めるだけでよいものにしておきましょう。また、社内の告知も重要です。ポスターの社内での掲示にも取り組んでもらいたいところです。
(A)【Auction】良いアイデアは「オークション」方式でスグに落札せよ!
イベント的な要素は不可欠。目指すイメージはタレントの公開オーディションです。まず、登場人物は「プレゼンター」「審査員(幹部)」「観客(従業員)」。プレゼンターは、審査員と大勢の観客の前でプレゼンをします。そして、審査員は気に入ったアイデアを競り落とします。少し補足をします。「競り落とす」とは、良い企画があれば幹部がオーナーとして預かって、実施が可能かどうかを検討。実施が可能であれば、自分の組織で正式に稼働させるという流れ。時には、人事異動が伴う場合もあります。ゆえに、審査員は組織の長であることが条件となります。
(M)【Memory】3か月以内に小さな成功を見せ、コンテストの成功を「記憶させよ」!
動き出したプロジェクトの進捗をきちんと従業員に報告する機会を持ちましょう。稼働し始めると、「一部の参加者」と「大勢の傍観者」に分かれます。次第に「傍観者」の関心は希薄となり、そのプロジェクトがうまく機能しているかすら分からなくなるからです。やってほしいことは2つ。
(1)従業員に進捗を細かく共有する
(2)従業員に成果を見せる(3か月以内に見せる)
共有の手段は社内メール、社内報、会議、など、あらゆるチャネルを駆使します。しかし、もっとも効果的なチャネルは事業のトップです。トップが社員の集まる会議やイベントで進捗を語ることほど効果的な共有方法はありません。従業員の関心が一気に再燃します。
不景気な時代のリーダーシップのあり方は、トップダウンだけでも、民主的だけでもうまくいきません。アイデアが泉のように湧き出す組織をつくるこそが、不景気の時代をチャンスに変えるリーダーの姿です。
今、わたしのところには「コンテスト」を社員育成の機会にしたい企業様からの相談が増えています。「儲かりのアイデア創出」はもちろん、「育成の機会づくり」に役立てたいという企業が増えているのです。ぜひ、DREAMステップを生かして、職場の全員が「アイデアを考える」ことでワクワク出来る、そんな組織を作ってみてはいかがでしょうか。実は、従業員はその機会を待っているかもしれません。
らしさラボ 代表取締役。
1969年元旦生まれ。リクルートグループ入社後、不景気の時代にあって、気合と根性に頼らない、お客様の「あったらいいのに」を解決する感動営業を実践することで、プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間トップ表彰(日本一)に4回、累計40回以上の表彰を受賞。営業部長、関連会社?フロムエーキャリア代表取締役を歴任。また、コーピングインスティテュートの公認コーチとして、1人1人のストレス耐性を向上させる「ストレスコーピング」のエキスパート。不景気や逆境を味方につけることをテーマに『感動営業』と『コーピング』を本格的に広めている。年間120回を超える研修カリキュラムの開発と実施、コンサルテーション、執筆活動を行う。近著は『ゆとり世代を即戦力にする5つの極意(マガジンハウス)』『TOP 1%のリーダーだけが知っているNEWプロジェクトの作り方(フォレスト出版)』他などがある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授