ビジネスのデジタル化で成長を牽引する情報システム部門へITmedia エグゼクティブ CIO インタビュー 2013(1/2 ページ)

ここしばらく続いた景気低迷期を乗り越え、世界を舞台に成長を加速するグローバル企業は、テクノロジーを武器に企業価値を高めている。ITによる競争力の維持・向上を担うCIOにとっては、その戦略を大胆に見直すべき時がやってきた。インタビューシリーズの第1回は、GEキャピタルの松本良之CIOに話を聞いた。

» 2013年03月27日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 多くの日本企業では、経営とITの「不幸な関係」が長らく続いた。ニッポンのITは、経営層からは「必要悪」とみられ、経営の見通しが悪くなれば、コスト削減が優先されてきた。

 しかし、ここしばらく続いた景気低迷期を乗り越え、世界を舞台に成長を加速するグローバル企業は、テクノロジーを武器により一層その企業価値を高めている。ITによる競争力の維持・向上を担うCIOにとっては、その戦略を大胆に見直すべき時がやってきた。

 このインタビュー連載では、企業のデジタル化を牽引し、商品/サービスの価値向上や企業の競争力向上に取り組むCIOに話を聞いていく。


GEキャピタルでCIO兼情報テクノロジー本部長を務める松本良之氏

 「わたしの目標は、デジタル世代の優秀な人材がぜひこの会社で働きたい、と思ってもらえること」と話すのは、GEキャピタルでCIO兼情報テクノロジー本部長を務める松本良之氏だ。

 135年前、発明王のトーマス・エジソン氏によって設立されたGeneral Electric(GE)は、幾多の変革を経て、現在はエネルギー、航空機エンジン、医療機器からエンターテイメントに至るまでの幅広い事業を展開する世界最大の複合企業だ。GEキャピタルは、そのGEの主要な事業部門として、リースをはじめとするさまざまな法人向け金融サービスを提供している。

 業界で1位か2位であることをビジネス存続の条件としたジャック・ウェルチ元CEOの経営改革はあまりにも有名で、2001年に後任としてジェフリー・イメルト氏がCEOに就任しても大胆な経営戦略が継続されている。

 国産コンピュータベンダーを経て2000年にGE本社に入社した松本氏は、「かつてはGEにおいてもIT部門はコストセンターだった。どんどんオフショアにアウトソースしてコスト削減した。それが最終的には顧客の期待に沿うことでもあった」と振り返る。

 しかし、リーマン・ブラザーズ破たん後の世界的な経済危機や欧州債務危機を乗り越えると、潮目が変わる。

 「テクノロジーが企業の優劣を分ける時代に入った。これからは顧客への価値を高めるためのテクノロジーと、それを実行していける人材を社内に取り戻さなければならない」(松本氏)

CIOが担う4つのミッション

 GEキャピタルにおけるIT部門の役割は、次の4つに集約されるという。

  1. M&Aで複雑化した会社を簡素化し、骨太の仕組みに変える
  2. ビジネスのデジタル化で顧客への価値を高め、成長を牽引する
  3. 企業コンプライアンスをITで安定的にする責任を負う
  4. デジタル世代の人材が夢を持って働ける企業にする

 先ず「ITの簡素化」は、コスト削減だけでなく、強い業務プロセスをつくる土台となる。国内リース会社の買収などで複数のメインフレームを維持してきたGEキャピタルだが、ここへきてメインフレームの統合とアプリケーションの一本化にメドをつけた。3カ所あったデータセンターも1カ所に集約し、さらに災害対策の観点からデータセンターをアジア地域に移すことも検討しているという。

 「ITを一本化すれば、強い業務プロセスをつくることができる。顧客とのやり取りや社内の業務もスピーディーになる」と松本氏。

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