世界に大きく遅れをとっているダイバーシティや女性活躍推進。ようやく注目されてきたが、日本は変わらなければいけない。女性任せではなく、男性が本気でそれを考える時期に来ている。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
『女性を活用できる上司になる』(古川裕倫、扶桑社)に、男性に知っていてほしい女性活躍推進の現状や男女両方の問題点を挙げ、解決策を提案しました。「女性が日本を救う」というIMFレポートにも触れ、ベストセラー「女性の品格」の著者坂東眞理子さんとの対談も入っています。
少子高齢化が進む社会において、女性の活躍が期待されています。2013年4月19日の安倍首相の「成長戦略スピーチ」においても、「女性の中に眠る高い能力を、十二分に開花させることが、閉塞感の漂う日本を、再び成長軌道に乗せる原動力だ」と語り、「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする」という目標が掲げられています。また、「育児休業期間を1.5年から3年に延長すること」「今期から5年以内に保育所待機児童問題を解決する」ことが打ち出されました。はたしてこれがどこまで効果があるかは別にしても、このような政策が明確にされたのは初めてのことです。
なぜ女性活躍推進が我が国の成長戦略になりうるのでしょうか。
その理由は、今の日本の女性活躍推進は、世界でほぼ最低のレベルにあるからです。
例えば、日本の全上場企業3543社の役員数(取締役+監査役)は39624人であり、そのうち女性役員がいる企業は524社(14.8%)、女性役員数は630人(1.6%)です(東洋経済「役員四季報2013年度版」)。
企業の女性取締役の割合のトップはノルウェーで44.2%。続いて、スエーデン21.9%、ブルガリア17.0%、ラトビア17.0%、フィンランド16.8%、米国15.2%と続き、37位の韓国が1.5%、38位が日本で1.4%。日本より下は、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビアなどイスラム圏でつい最近女性参政権が与えられたばかりの国々です。
わが国の民間企業の課長相当職以上に占める女性の割合は、6.2%(内閣府男女共同参画局2010年)。フィリピンの57%、アメリカ43%、ドイツ38%、オーストラリア37%などと比較して格段に低い状況です。
スイスのジュネーブにある「ダボス会議」を主催することでも知られている国際非営利団体「世界経済フォーラム」は、ジェンダーギャップ指数という、世界各国の男女間の経済・教育・政治・保健分野における男女間の格差を示す数値を発表しています。日本は総合点で、2010年度は134カ国中94位、2011年度は135カ国中98位、2012年度は135カ国中101位というありさまです。
これほど日本の女性活躍推進は、遅れているのです。更に少子高齢化で生産労働人口が激減していく状況下、女性が活躍しなければ国が成り立っていかないのです。
しかしながら、このような状況に現実が対応できていません。そもそも「女性活躍推進」とはなにかと思われている経営者も大勢おられると思います。言葉は知っていてもまだ行動に移せていない人事部もたくさんあると思います。また、社内でダイバーシティ推進室や女性活躍推進室がすでにあっても、なかなか女性のうまい登用に結びついていない会社も多いと聞いています。
わたしは、女性活躍推進について過去に2冊の本を女性向けに書いてきました。『女性が職場で損する理由〜賢くふるまう技術』(古川裕倫、扶桑社新書)『一生働く覚悟を決めた女性たちへ〜仕事を楽しむ技術』(古川裕倫、扶桑社新書)そして今回の『女性を活用できる上司となる』は、女性を登用する側に多い男性向けに書きました。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授