女性を活用できる上司になるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2013年05月23日 08時00分 公開
[古川裕倫,ITmedia]
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 男性だらけの日本の会社の中で、女性だけでは女性活躍推進はなかなかうまくいかないと思っているからです。職場の男性の理解がないと、時短勤務にも遠慮してしまいます。就業時間が終わっているのに男性上司が居残っていると、若手が帰りにくいと同じことです。正直、法律やパワハラのことは気にしても、肝心の女性への真の協力が少ないというのが現状ではないでしょうか。

 多少は分かってはいても、自分事ではなく、他人事としか考えていない男性も多い。多くの女性が出産・育児のために会社を辞め、子育てが一段落したら再び職場に復帰してきます。したがって、女性の働く人口推移は、28歳ぐらいから一旦減少し、30代後半から増えてきます。これをエムカーブと呼んでいますが、職場復帰はいわゆるパートが多く、本来能力の高い女性も、学生アルバイトと並んで(わが国を支えている)低賃金集団に甘んじています。

 これを男性に聞いてみると、「そんなものもでしょう」とほとんどが他人ごとにしているのですが、では自分の娘さんが大きくなったときも同じでよいのでしょうかと聞くと、「それは問題である」とご理解をいただけます。

 女性側にも問題はあります。入社までは男性に比較して優秀であった女性が、本領を発揮せずにいつの間にか男性に抜かれてしまう。与えられたことだけしかしない女性。責任の重い仕事はしたくない女性など。これらについても、拙著に言及しています。

わたしは「世田谷ビジネス塾(読書会+交流会)」というボランティア活動を5年にわたり行ってきています。その興味分野は、「立志」「気づき」「グローバリゼーション」「ダイバーシティ」「女性活躍推進」などです。中でも、わたしが生きている間に、女性活躍推進をぜひ加速したいと思っています。いい歳をしていますので、自分のライフワークの一つとして、やり遂げたいと強く思う次第です。

 ついでながら、近々「女性幹部を目指す大学生のための本気塾」(女子大学生対象)というのを立ち上げます。日本の企業社会における女性活躍の歴史は浅く、若年者またはこれから社会にでる大学生にとって、ロールモデルが少なく組織の仕組みの壁も高い現状の中、上記のような政策が打ち出されたことは大きな意味がありますが、主役であるはずの女性を育成する環境は、整っているとは言えない現状があるからです。1人でも多く将来の女性役員を育てるべく、微力ながら努力したいと思っています。

 女性活躍推進について、多くの女性著者が女性向けに本を書いています。また、女性向けの研修も多くの女性講師が活躍しています。しかし、わたしは、そろそろ男性の中にもそれを支持する人が出てきておかしくないと思っています。

 男性向けに(男性が)書いた女性活躍推進の本がどこまで受け入れられるかまったくわかりません。本来読んでほしい男性が本書を手に取ってくれないかもしれません。しかし、少子高齢化による生産労働人口の激減を目の前にして、しっかり現実に対応していく必要があるのは間違いありません。本気の男性の出番です。

 一旦、主たる企業が女性活躍推進に本腰を入れるようになると、一挙にその動きが加速し、「われもわれも」となるとなるのではないかと想像します。しかし、人材は直ぐには育ちません。女性を積極的に受け入れて、時間をかけて教育をして初めて重要なポジションへの登用が可能になります。ですから、早くから多くの女性採用と登用を進める会社が勝ち残ると思います。また、そういう意識を男性にも持ってほしいと願っています。

著者プロフィール:古川裕倫(ふるかわひろのり)

現在:「世田谷ビジネス塾」塾長、「女性幹部を目指す学生のための本気塾」塾長、多久案代表、Woomaxエグセクティブアドバイザー、日本駐車場開発社外取締役、情報技術開発社取締役

略歴:三井物産に23年間勤務(エネルギー本部、情報産業本部、業務部投資総括室)、内ロサンゼルス・ニューヨークに10年間勤務。その後、ホリプロ(取締役経営企画室など)を歴任。

著書:「女性を活用できる上司となる」(扶桑社)、「一生働く覚悟を決めた女性たちへ」(扶桑社新書)、「女性が職場で損する理由」(扶桑社新書)、「失敗を成功に変える生き方」(プレジデント社)、「課長のノート」(かんき出版)、「バカ上司その傾向と対策」(集英社新書)、他多数


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