現実生活の中で、食の問題は占める位置が大きくまたプライオリティも高い。その大切な食について考えてほしい。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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僕がこの本をどうしても書きたかった理由があります。それは、間違ったダイエットをしている人があまりにも多いから、ということであり、その間違ったダイエットを即刻止めて、この本に書いた正しいダイエット(僕はそれを『からだキレイダイエット』と名づけました)を実践してほしかったからなのです。
そもそも、日本ではダイエットという言葉が正しく訳されていません。ダイエットは正しくは、健康的な食事のシステム・プログラムのことです。それが日本では、痩せるための方策、というように理解されている。それはとんでもない間違いですから、正さなければならないとかねてより思っていました。
当然のことですが、訳が正しくないのだから内容も正しくない。つまり、これまで紹介されてきたダイエットはほとんどが正しくないものです。正しくないダイエットを実践するとどうなるか、というと、体を悪くします。健康を損なう。じつに嘆かわしいことです。本来であれば、ダイエットを実践すれば健康的になるはずなのに、まったく逆のことが起こっている。
大方は、なにか物品を売りつけるために無理矢理こじつけた理論を振りかざして、無知な、あるいは弱気な人々を陥れるために作られたものです。バナナダイエット、りんごダイエット、チョコレートダイエットなどバカバカしいにも程がある。まあ、そんなものは、やってみれば現実的ではないことがすぐに分かるので、真面目に取り組んで長く実践するような愚かな人はいないだろうから、実害が無いといえば無いので許すとして、曲がりなりにも医師免許をもっている者が、さも科学的であるかのように糖質を制限する食事をすすめていたりする。
人間のエネルギー源はブドウ糖です。脂肪やたんぱく質もエネルギー源として使うことはあるけれど、それはあくまでも緊急避難的なものです。健全な肉体を維持しようと思うのならば、適正に糖質を摂らなければなりません。それを複合炭水化物で、しかも精製度の低いもので摂る、というのがダイエットの、そして栄養学の基本なのです。栄養学をきちんと履修していないような連中が医師免許を持っていること自体が問題ですが、今はあえてそのことには触れないことにして、知りもしないことをしたり顔で述べるのだけはやめてほしい。多くの人が迷惑するから。とだけは言いたいのですよ。それと、医師という看板だけで盲目的に信じるのもやめたほうがいい。大半は優秀で誠実な方々ですが、中には不勉強な悪徳医師もいますからね。
この本のあとがきで僕は『からだキレイダイエット』の本来の目的とは
「ほんとうの自分を見つけることなのです。ほんとうの自分は、どうあるべきなのか。ほんとうの自分が、どう生きたいと思っているのか。ほんとうの自分なら、今何を選択し、どう行動するのか。(中略)それを知るために、自然のものを食べるのです。自然をからだに取り込んで、自然と一体となるのです。自然は、すべてを知っています。そして、僕たちはそのすべてを知っている自然の一部です。一部がたくさん集まって、大いなる自然を形成しています。だから、取り替えはきかない。自分は、ほかの何ものにも置き換えることができない偉大なる存在なのです。」
と述べました。要するにこの本は、こうすれば痩せる、これを食べれば太らないなどというような表面的なことを書いた本ではありません。まえがきでは、カロリー計算なんて必要ない、とまで言っています。どうしてかというと、食べるということは極めて哲学的行為だと思うからです。それを政治的問題に換えてしまっている連中がいます。そういう連中が食業界のグローバル化を推し進め、生産者と消費者の両方から搾取を続けた挙句に、世界中に不均衡をもたらし、不必要な肥満と解決できるはずの飢餓を同時に現出させている。僕は、それが許せません。僕たちの現実生活の中で、食の問題は占める位置が大きく、またプライオリティも高い。その大切な食が彼らのために昏迷しているわけです。そこから抜け出すためには、哲学的考察が必要なんです。じつは、この本は、その哲学的考察の切っ掛けを作るために書いたものです。
昏迷の時代の経営者は、事業を成功させるという大命題のほかにも、やらなければならないことがあります。それは、家族やスタッフはもちろんのこと、クライアントやサポーター、ステークホールダーの皆さまに、正しい道を指し示すことなのです。食は、人間が生きていく上での基盤です。その食のあり様が間違っているとしたら、その人の生き方も間違っていると思います。その結果は、何年かの月日を経て、必ずその人の人生に確実に影響を及ぼします。
多くの人たちは、そのことに気付いているようでいて、じつは気付いてはいない。それが今のわれわれの食生活に表れています。ファストフード、コンビニ食品、ファミレスの食事。そのような食事が蔓延している。このままでいいとは、誰も思っていないはずです。しかしこれまでは、どうすればいいのかという方法論が分からなかった。その実現可能な方法を『オプティマル・フード・ピラミッド』という分かりやすい形にして、僕は書きました。
その内容をかいつまむと、精製度の低い穀物と豆類を2:1で摂ること、動物性のたんぱく質を全食事量の10%程度にすること、オイルは適正にとりオメガ3とオメガ6の比率を1:4に近づけることなど、その気になれば、誰でも実践できることばかりです。今こそ、経営者自身が決断して、自らの食生活を改めなければならない。上っ面の、金儲けだけを考えている企業やその経営者が淘汰されるのは自明の理です。ほんとうに人々の、そして社会の役に立ち、長きにわたって繁栄を続ける企業経営を目指すのであれば、経営者自らが正しい道を示さなければならない。その第一歩がダイエットの、それも正しいダイエットの実践である、と僕は確信しています。『からだキレイダイエット』を実践し、自分の周囲にすすめくれる経営者が続出することをひたすら願うばかりです。じつはそれこそが、低迷する日本経済を立て直す唯一の道である、ということを信じて疑いません。
EPIC LLC./ Atelier KIYO 代表 フードプロデューサー
舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、からだと食の関係の重要さに気付き、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。2011年5月より、「農」に密着した活動を行うことを決意し、岐阜県大垣市に拠点を移す2012年4月より国際食学協会名誉理事長に就任。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授