自分は嘘をつくが人には正直さを求める人が多いという。しかしビジネスの現場では嘘も方便。それならば嘘を知り、嘘に強くなろう。
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米国のある調査では、調査対象者の94%が、「友人の正直さは極めて大切な特質だ」と回答しました。しかしながら、別の調査では、調査対象者の90%が、自分は嘘つきだと認めています。この2つの結果を並べてみると、自分は嘘をつくのに、友人には正直さを求める、そんな無茶な、と思ってしまいますね。
対象を就労者に限定したホーガン・アシスメンツの調査では、「同僚に裏切られたか、もしくは不誠実な扱いを受けたことがあると感じている」と回答した会社員は、なんと81%にもなりました。もしあなたが、まだそのような経験を一度もしていないとしたら、2割の少数派に入るラッキーな人、ということになります。
「嘘をついてはいけない」そう教えられて育ってきましたが、歴史上では「トロイの木馬」など、戦術としての嘘がよく登場し、武勇伝として後世に伝えられています。敵を倒し、国を守るということが大儀として掲げられ、戦術上の嘘は、機智として重要視されてきました。
ビジネスの場では、企業の発展や業績アップが大儀として掲げられ、経営戦略や広告、セールストークなどの嘘は、リーダーとしての資質や営業マンの適性の一部とみなされがちです。書店に並ぶビジネス小説や営業力アップ系のノウハウ本には、欺まん術といえるものが山ほど登場します。
8月に出版になった『「本心がわからない」ときに読む本』(あさ出版)では、さまざまな嘘を取り上げ解説しました。その中からビジネスシーンによくみられる3つの嘘を紹介します。
所属組織によっては、嘘をつくことが基本的なルールとして定着している場合があります。ある日の夕方、カフェで、不動産関係者らしき男性と、おそらく顧客の女性が、このような会話をしているのを耳にしました。
男性「自己資金ですが、少し多めに書いていただいてもいいですか? そのほうが物件をとりあえず押さえることができますので。そうじゃないと、上の者に話を通し難いんですよ」
女性「いろいろ大変なのね。分かりました」
男性は、会社の上司たちよりも、目の前の女性の味方のような口ぶりで、嘘の金額を記載するように勧め、女性もすんなりと嘘の金額を書いたのです。
このように仕事を進めることが、当然のルールとなっている会社もあります。この男性のように、無理なく適応できる人もいますが、好ましい結果が出せなかった場合など、課せられる役割と自分の考えが葛藤し、人間不信や鬱状態に陥ってしまう人もいます。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授