ソノマ州立大学のキャロライン・サーニ博士の研究によると、6歳の子どもは、(男の子は特に)自分に相応しくないおもちゃをもらったときに、あからさまにがっかりした様子を見せるそうです。ところが、10〜11歳にもなると、(女の子は特に)内心では間違いなくがっかりしているはずであっても、嬉しそうな様子をみせるそうです。10代に入れば、多くの子供たちが、感情の偽装をともなった社交技術を身に付けると考えられます。
このようなふるまいは、大人になると、ちゃんと身に着けていないと相手が怒りだすことすらあります。飛行機のビジネスクラスや有名ホテルなどでは、本音はどうあれ、常に丁重な接客態度が求められます。ちょっとでもネガティブな感情を出し、粗雑な態度をとってしまうと「社員教育がなっていない」と判断されてしまうのです。
「こういうことにしておこう」という嘘です。勧誘の電話に居留守を使ったり、セールスの電話に「今は忙しい」と伝えたり。嘘をついたほうが、穏便に済むので、正直に話すよりも楽なのです。
「資料できた?」と聞かれて、「8割できました」と答えながら、実はほとんど手をつけていない、というケースもあります。その際、「昨日遅くまで家で作ったのですが、あとは、客先からの返信を待って作ったほうがいいので、そこまでにしています」などと、嘘の説明を加え、もっともらしく飾る人も多いのが特徴です。
ここまで、ビジネスシーンによくみられる3つの嘘を紹介してきましたが、「仮病」も含めれば、ほとんどのビジネスパーソンが、嘘をついたことがあるのではないかと思います。
自然界では、さほど大きな脳をもっていない昆虫や動物にも擬態やあざむき行動がみられます。嘘は生命にとっておそらく必要なものであり、人間の場合その多くは、自己防衛本能が起こすものです。
われわれは、嘘をつくのに、つかれると傷つきます。自分は嘘をつきながら、一方では、相手に正直さを求めるという傾向があります。嘘を知り、嘘に強くなれば、ビジネスシーンはもちろん、恋愛、友情、様々なシーンに役立ち、人生がとても生きやすくなります。
一度、ご自身や身近な人の嘘について、振り返ってみてはいかがでしょうか。
作家・心理カウンセラー・コミュニケーション学研究者
東京都出身。成城大学大学院コミュニケーション学専攻。IT企業技術職(マイクロソフト社Network Specialist)を経てビジネスパーソンを対象にした心理カウンセラーとして起業。執筆・講演・メディア監修/出演実績多数。著書は76 万部を超え海外でも出版。専門:社会心理学・コミュニケーション学。所属学会:日本心理学会、日本社会心理学会。著作『「本心がわからない」ときに読む本』(あさ出版)他多数。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授