「大切なものは、目には見えない」内面的魅力を分かってもらうのはすぐには難しい。よいところを分かってもらうためにはコミュニケーションが必要だ。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
人の印象は、大きく2つに分かれます。
魅力的か、そうではないか。
心理学では、50年ほど前から、「対人魅力」に関する研究が盛んになってきました。各種実験結果や調査結果が発表されています。
魅力と経済力の関係について調査も、多数行われています。
これらの結果から見ると、魅力のある人というのは、経済的にも恵まれる可能性があると言えそうです。また、毎日のように目にする各種ランキングやコンテストの発表をみても、「今、誰に(何に)人気が集まっているか」ということには、多くの人が関心を寄せています。
先月、サンテグジュペリの「星の王子さま」という作品を題材に、対人魅力研究やコミュニケーション学的法則を紹介する本が出版になりました。世界的名作の主人公を心理解説し、その行動の矛盾から人間性の探求にもふれようという、大それた試みでありますが、私自身、10年以上地道にビジネスパーソンのカウンセリングを続けてきましたし、日本を代表する心理学関連の49の学会が終結して運営している心理学検定に1回で1級合格。パーソナリティに関する領域では偏差値73を獲得していますので、心理学という分野で勉強という努力を続けている者として大目にみていただければと思っています。心理学、コミュニケーション学という視点から改めて読み直してみると、「星の王子さま」という作品は、心理学的にも理にかなった魅力的なコミュニケーションの宝箱でした。
"もてる"というのは、多くの人から、何らかの理由で「魅力的だ」と思われた結果です。女性の口コミ効果は絶大ですから、社内社外で広く女性の心をつかむことができれば、同僚、上司、ひいてはトップの耳にも評判が届き、信頼を得られることもあるでしょう。すると、さらに女性からの人気もアップします。人生がますます楽しくなります。
ここでは、本書でも紹介した、リーダーとして"もてる"ための、対人魅力のポイントをひとつ、事例も合わせて紹介します。
心理学者のマーステインは、人と人とが親しくなる発展段階を「SVR理論」として3段階で説明しました。
第1段階:刺激(Stimulate)の段階
相手から受ける刺激や魅力を感じる段階。この段階では、外から見える魅力が大事だとされています。外見の魅力は、0.5秒で判断されるといいますから、
髪型や雰囲気、姿勢を変えてみるだけでも、大分印象がアップします。
第2段階:価値(Value)の段階
価値を共有する段階。この段階では、価値観の類似性が魅力として重視されます。 相手の話を聞き、共感することが大切です。
第3段階:役割(Roll)の段階
お互いの役割を補い合う段階。この段階では、相補的な関係となるため、お互いの違いも魅力として重視されます。それぞれの立場や役割を確認し、補い合える関係ができたとき、特別なパートナーとして認識されるのです。
出会い、関係を発展させるには、まずはある程度「外見的魅力」も大事。そして関係が進んでいくにつれて、「内面的魅力」をお互いに理解し、尊重しいく。このようなプロセスがポイントのようです。
結婚生活で成功できる人の多くは、このような段階をよいかたちで発展させることができた人、といえるのかもしれませんが、ビジネスシーンでもこのような段階を上手に発展させることができ、ゆるぎない人気を得ている人がいます。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授