企業が利益を上げるために他社との差別化をはかるように、これからは個人にも必要になる。人材のコモディティ化から抜け出すためには。
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今、われわれの働き方や仕事に関する考え方が大きな曲がり角を迎えています。かつての「大企業に入ってしまえば一生安泰」という考え方は過去のものになりました。
MITの研究者の共著による『機械との競争』(エリク・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー共著 村井章子翻訳 日経BP社)の中で、今後は機械が人間の雇用を奪い続け、いずれ残る職業は高度な知的作業と肉体労働だけになるだろうという大胆な予測があります。今後、人間はなんらかの形で人間でしかできない付加価値の高い仕事にシフトしていくことが求められます。
企業の製品戦略を考える上で「コモディティ化」という言葉があります。
製品がどこでも作れるような大差のない陳腐なもの(コモディティ)になっていくと、後は泥沼の価格競争に突入していくので、なんとかして企業としては「脱コモディティ化」を志向して自社を差別化するように頭をひねるのです。
そこで出てくるのが「ビジネスモデル」です。簡単に言うと「企業が利益を上げる仕組み」のことを指します。
このビジネスモデルは、個人でも使えます。誰でもできる仕事から、自らの個性や長所を生かして他社との特別な関係性を築ければ、自分にしかできないやりがいのある働き方を見つけることもできるということです。
人材がコモディティ化の方向を進みはじめた今、こうしたビジネスモデルの考え方を個人のキャリアプランや仕事の仕方に当てはめれば「稼ぎ続ける個人」のヒントが得られるのではないかというのが『ビジネスモデル×仕事術 成功する人は仕組みを借りてくる』(細谷功、井上和幸、西本伸行共著 日本実業出版社刊)のベースにある考え方です。
近年、個別の製品やサービスでは差別化がしにくい競争環境になっています。
そこで、企業は商品単体ではなく、顧客や関係者とのつながり方や利益を上げる仕組みを工夫することで、稼ぎ続けられるようにしようとしています。それが、「ビジネスモデルを工夫する」ということです。
そこでてっとり早いのが、他の仕組みから「借りてくる」という考え方です。
例えばあなたが、「新聞」のビジネスを参考に、ネットビジネスをはじめたいと考えているとします。まず、自分で取材した題材を記事にしてネット上でニュースとして公開するというビジネスがあります。新聞という商品を参考にするのであれば、リアルでやっている新聞のビジネスをネットで行なうことになるのは当然の結果です。では、もう一歩踏み込んで、新聞のビジネスモデルだけを借りてくるとどうでしょうか。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授