行動科学で組織の成果を上げるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

マネジメントと行動科学マネジメントの違いは「いつ・誰が・どこで」やっても、同じ結果が得られるということ。今いるメンバーで最大の成果を出すには。

» 2014年09月18日 08時00分 公開
[石田 淳,ITmedia]
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リーダーにカリスマ性や素質はいらない

<チーム編>教える技術 行動科学で成果が上がる組織をつくる!

 「行動科学マネジメント」は、人間の行動を科学的に研究する「行動分析学」をベースにしているマネジメント手法です。行動分析学が導き出した数々の法則や原則は、膨大な数の実験結果から得られた「科学的」なもの。ご存知の通り「科学」の大きな特徴は、その「再現性」にあります。

 つまり、科学的なプロセスで得られた法則は、「いつ・誰が・どこで」やっても、同じ結果が得られるということ。属人的な能力に多くを頼る一般的なマネジメントと、「行動科学マネジメント」の決定的な違いはここにあります。「カリスマ性」や「ズバ抜けた能力」といったものは、まったく不要なものです。

今いるメンバーで最大の成果を出すために

 「2割8割の法則」というものがあります。イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートが提唱したもので、どんな組織でも売上の大半を生み出しているのは、全体の約2割に当たるハイパフォーマーだと定義されています。

 チームの総力を高めたいなら、リーダーが注力しなければいけないのは、上位2割の優秀な社員ではなく、残り8割の「ごく普通の社員」に対してです。この8割のごく普通の社員を伸ばすのにきわめて効果的なのが、「行動科学マネジメント」です。仕事の結果ではなく、そこにいたる「行動」に着目することで、短時間で確実に成果を上げることができます。

メンバーへの声かけは質より「量」

 チームメンバーとの信頼関係を築くために上司ができる、もっともシンプルな方法は、部下にどんどん声をかけることです。内容は何でもかまいません。とにかく相手の顔を見て、何か声をかける。

 「それなら、十分やっています」という人も、「あんまりできていないかも……」という人もいるでしょうが、その判断はあくまでも感覚的なものですよね。こんなとき、行動科学マネジメントでは「行動の回数」を数えます。手帳にメンバー全員の名前を書いた一覧をつくっておき、朝、自分から「おはよう」と声をかけたら1回とカウントして「正の字」の棒を1本加えましょう。

 もちろん、プライベートなことを詮索するような声かけはしないよう気をつけましょう。頻繁に声をかけられることで「自分のことを気にかけてくれている」「存在を認めてもらっている」という思いが強くなり、それはやがて「何かあったら、この上司に相談すればいいんだ」という安心感や信頼感へとつながっていきます。

行動定着ショートミーティングのすすめ

 ご提案する行動科学流・ショートミーティングの目的は、査定面談ではメインテーマにできない日々の行動のチェックや評価を行い、望ましい行動を定着させる。すなわち数多く実行し続けるようにすることです。

 例えば、仕事で成果を上げるには、より多くの顧客と接触することが必要だという業種の場合、「毎日、10人の顧客に電話をかける」ということが成果を上げるための行動なら、その点について上司と部下で合意し、次のショートミーティングではそれを確認します。

 具体的な行動が決まっていれば、もちろん本人が行動しやすいですし、できたかどうかのチェックも確実にできます。「1日に電話10本」ができていれば、「よし、がんばってるな」とほめ、できていなければ、できなかった理由を聞き、2人で改善策を探っていけばいいでしょう。

 「行動」に的を絞ることで、上司と部下のすり合わせが確実にできます。部下をほめるのが苦手という人でも、その人の「行動」をほめることなら気負わずにできるでしょう。その結果、成果につながる行動が増えれば、必ず結果に現れます。

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