大薗 このビジネスモデルを海外で展開することは考えていますか。
辻 あり得るとは思っています。「米国でやれば投資家の評価が高いのでは」とおっしゃる投資家もいます。現在のIIFのモデルは、日本の企業に長期で契約してもらい、金融機関から長期の資金を調達して、そのスプレッドを確保するというモデルなので、同じ考え方で海外でも展開できると思います。
例えば、日本企業が東南アジアに進出する場合に、同じ仕組みでIIFが物件を取得することもできるでしょう。ただ、米国企業が東南アジアに進出となると、土地と建物が異国にあることに加え、テナントまで異なるのですからかなり応用範囲が広がるので、そこまでやるかどうかは検討が必要です。
大薗 そのほかにどのような成長戦略を描いていらっしゃいますか。
辻 IIFの活動場所は、日本国内だけでも膨大です。企業や地方自治体が保有する、証券化されているアセットクラス、REIT化されているアセットクラス以外のほとんどが対象になるので、かなり大きな市場です。企業の説得ができ、マーケットがIIFを活用するという資金調達方法があることを認識してくれれば、爆発的なマーケットの広がりが期待できます。
そのためには、横展開を図るというよりも、現状を深掘りして、IIFの存在を、銀行でお金を借りたり、債券を発行したりするのと同じような位置付けにすることが必要です。
大薗 逆にIIFのソリューションを活用しない方がいい会社は、どのような会社なのでしょう。
辻 例えば、ROEが8%の会社が6%で物件を売却することでROEを向上できます。逆にROEが3%の会社が6%で物件を売却するとROEが低下してしまいます。つまり資本効率の良くない会社は効果が期待できません。
無借金会社や借金の少ない会社は、当社のアセットファイナンスで資金調達するよりも、シニアデット(通常借入)の方がレバレッジ効果は高くなるので、こうした会社に提案すると苦戦します。
重厚長大な企業では、アセットファイナンスになじみのないことが多く、売却すると損益計算書(P/L)を悪化させるだけとの判断をされる会社もあります。実際には財務諸表の状況によって、IIFのアセットファイナンスかシニアデットかを選択することが肝要です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授