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» 2014年11月10日 08時00分 公開

産業用不動産への投資でオンリーワン 三菱商事UBSリアルティはなぜ果敢に挑戦できたのか?ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(5/5 ページ)

[文:山下竜大, 構成:伏見学,Business Media 誠]
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会社の文化、DNAの確立で強い組織を作る

大薗 自治体の動きはいかがでしょう。

 自治体も話はありますが、本格化にはまだ時間がかかると思います。鉄道や空港、上下水道などの地方公共団体と取引できればいいのですが、地方公共団体がいまだそこまでは進んでいない状況です。

 例えば、上下水道は、それぞれの地方公共団体が管理するよりも、地域でオフバランスして、所有と経営の分離を実現することで、料金の回収や補修などもアウトソースできるため、地方公共団体にとって大きなメリットがあると思います。

大薗 これだけビジネスのポテンシャルがあると、競合が出てきても不思議ではないのですが、IIFが上場した2007年10月以降、類似の競合先は出てきていますか。

 専業はありません。ある会社が、総合型として、オフィス、商業、住宅を取り扱かうというサービスを展開しています。このサービスで、産業系も一部取り扱っています。ただ、お話しした通り、産業系は手間がかかるので、なかなか進んでいないのが実情でしょう。

大薗 産業に特化していることが強みなのでしょうか。

 強みと言えます。経験とノウハウが蓄積され、慣れてきているので、追いつくのは難しいでしょう。ネットワークが大事なので、商社系の会社が参入してきても不思議ではないのですが、あまり積極的ではないようです。

大薗 手間ひまかけて分析し、提案ができ、企業金融の視点を持っている人にたくさん経験させることで、プロフェッショナル人材を育成していることが、他社の参入障壁になっているのですね。プロフェッショナル人材の育成については、多くの企業が注目していると思いますが、何かアドバイスはありますか。

 初歩的なアドバイスになりますが、やはり経験を繰り返すしかありません。何度も挑戦して、失敗を繰り返すことにより、精度が向上してくるのだと思います。失敗してもいいのですが、失敗した後で何が問題だったのかを自分なりに分析して、理解することが必要です。失敗に早めに気が付くこと、同じ失敗を繰り返さないことが重要です。

大薗 いろいろな会社の文化を身に付けたスペシャリスト集団という会社は、日本ではあまり多くありませんが、今後は同じような会社が増えてくるような気がします。こうした集団を率いていくときに、どのようなことを心掛けていますか。

 三菱商事はグループで約7万人、単体で約6000人の社員を抱えていますが、企業文化に合わせたDNAを持っている会社です。三菱商事の社員は、どこの会社に行っても、選択肢が2つあったときに最初のアクションとして三菱商事らしい反応をします。これは企業文化であり、DNAだと思っているので、これだけは継承したいと思います。

 三菱商事UBSリアルティという会社の文化、DNAを確立することができれば、社員が500人になっても、例えば大阪事務所やシンガポール支店ができても、まとまりのある強い組織を作ることができます。現在、その一環として当社が社員に期待するコアバリュー(仕事に対する姿勢や価値観など)を明確化することで、新たな価値を生み出せる強い組織作りを目指した「コアバリュープロジェクト」も展開しています。

 現状で“三菱商事らしさ”といえば、日本の産業基盤を支えるJ-REITを作ったということです。これが住宅REITであったら企画そのものが通らなかったかもしれません。

大薗 将来的には、アジアを支える、世界を支える社会基盤へと広がっていく可能性も期待できますね。本日はありがとうございました。

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