まずは自分がよい状態を保つこと。そしてほんのちょっと行動を変えこころを上手に使えるようなること。できることから始めてみる。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
今秋、メンタルヘルスをテーマにした講演を多数担当しました。職場におけるメンタルヘルス問題への関心の高まりを肌で感じています。
今、時代は、メンタルヘルスに強いリーダーを求めています。
11月に発売になりました文庫本『小さなことに落ちこまないこころの使い方』には、日々の行動をちょっとだけ変えるだけで、心が上向きになる方法について書きました。今日は、その中から、メンタルヘルスに強いリーダーになるために役立つポイントを紹介します。
厚生労働省の調査によると、「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていることがある」と回答した労働者の割合は60%を超えました。そしてなんと、その原因のトップは「職場の人間関係の問題」だそうです。力を合わせて仕事を進めていく仲間が、一番のストレスの原因になってしまっているという恐ろしい現実があります。
一方、前述の調査で「相談できる人がいる」と回答した労働者の割合は90%と、高い結果になりました。相談者には、上司、同僚、家族、が選ばれています。しかし、相談した不安、悩み、ストレスについて、「解消された」と回答した労働者は3割程度で、ずいぶんと低い結果となりました。
せっかく相談したのに、ストレスが解消できない理由のひとつに、相談を受ける側が「こころの使い方が上手ではない」というケースがあります。
よかれと思って相談したのに、かえってストレスは増し、関係や状況が悪化しています。
周囲へ良い影響を与えようとするあまり、それがあなたのストレスになってしまっては、元も子もありません。まずは、あなた自身の良い状態をキープすることがなにより大切です。ハーバード大学などを中心に、世界で研究が進む心理学のエッセンスを取り入れて、ほんのちょっと行動を変えてみてください。誰でも次第に、こころを上手に使えるようになっていきます。「こころの使い方」、それは、小さな落ち込む原因が散在している現代社会だからこそ、リーダー自身にとっても、必要不可欠なスキルなのではないでしょうか。
試しにほんのちょっと行動を変えてみると……
つまり、こころが大丈夫になるのです。ずいぶんと気が楽になりますよ。気楽は無責任とは違います。気を楽に、リラックスした状態で物事に取りかかれると、良いアイディアがひらめきやすくなり、生産性も高まるというおまけまでついてきます。
「こころの使い方」の具体的な例を2つ紹介しましょう。
例えば「何かをはじめる」という場面。「ダイエットするぞ!」「英会話はじめるぞ!」と、はっきりと力強く宣言したほうが、行動が起きやすいという考えもありましたが、米国の心理学者イブラヒム・セナイの調査の結果、「〜するぞ」という宣言のかたちで口に出した人よりも、「〜してみようかな?」という自問のかたちで口に出した人のほうが、実行に移す可能性が高いことが分かったのです。「自分がしたいからする」という内発的動機づけが働き、実行する可能性が高くなるからだと考えられています。
「お金や名誉などを得る」という外発的動機づけによる行動は、その場限りのものになりやすいという傾向があるのですが、内発的動機づけによる行動は、継続しやすく、人格的な成長につながるとも言われています。
「何かをはじめる」というのは、エネルギーのいる事ですが、「〜してみようかな?」と、自問のかたちで口にして、行動を起こしてみてください。それだけで、継続力が高まり、人格的な成長も見込めるのですから、なかなか良い情報ですね。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授