リーダーがつぶやく言葉にはパワーがある。職場のポテンシャルを引き出す戦略的なひとこととは?
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
こんにちは、らしさラボの伊庭です。私は、企業リーダーへの研修と、その実践に向けてのコーチングを行っています。研修とコーチングを合わせると年間250回ほどの機会を持っています。
多くの企業に訪問する中で、感じることがあります。実は、リーダーが何気なくつぶやく「ひとこと」に、職場のポテンシャルは影響を受けるということです。例えば、同じ局面においても 「難しいなぁ」と言うリーダーもいれば、「できる方法があるとしたら、何があるかな」と、言うリーダーもいます。同様に「前例がないので……」と言うリーダーもいれば、「むしろ、チャンスかも」と言うリーダーもいます。当然ですが、後者のリーダーの方が、職場のポテンシャルを引き出すことができます。
リーダーがつぶやくひとことにはパワーがあります。今こそ、リーダーの戦略的なひとことが必要になってきているのではないでしょうか。ここでは、そんなエネルギーを持つ「職場で使いたいひとこと」を紹介します。
「それも、大事だね。いい気付きだ。でも、この観点で考えるとどうかな? そうだね。よく気付いたね。今回は、満点の3点ではなく、成長に期待をして2点にしておこう。」
これは、スターバックスの店長とバイトの面談でのシーン。気付きましたか。「ダメだし」のフィードバックなのです。しかし、バイトは、前向きにとらえます。それは、「自分なりの努力を認めてもらえている」という根源的な欲求が満たされるからです。このようにリーダーが、「努力や考えを認める」ことができれば、部下はそこにやる気を見いだします。
そのために、リーダーがすべきことは、まずは相手の視点で考えてあげること。意見を言い返す前に、この言葉を使えるリーダーのいる職場では、メンバーのモチベーションは高まります。
もし、ミーテングで暗礁に乗り上げた時は、こう言ってみてください。
「メリットに着目してみない?」と。
例を紹介しましょう。残業手当を当てにする人がなかなか帰らないことに業を煮やしたある会社の部長は、こんな提案を会社にしました。「早く帰る人のインセンティブ(報酬)を上乗せさせればどうか」と。早く帰る方が、収入が増える仕組みにしたところ、わずか1年で残業削減に成功したのです。
100回の話し合いより、1つのメリットに着目してみると、より筋のよい解決策が見いだせます。
職場のネガティブな事の全てが問題ではありません。「本当の問題」を冷静にとらえることがリーダーには求められます。
ある会社社長の例を紹介しましょう。「うちの従業員、資格取得の試験に全く合格しないんですよ。その資格の合格率は4〜5割。うちの合格率は1割程度。もっと勉強しろよ、と思いますよね(笑)」
しかし、彼はこれを問題とは考えていないので、合格率を上げるための対策をまったく考えていません。彼が考える本当の問題は、「日常の忙しさに翻弄(ほんろう)され、学ぼうとする姿勢を失うこと」だと言います。これを甘いと思う人もいるかもしれないが、そうでもないのです。従業員は辞めず、やる気に満ちあふれ、業績も絶好調。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授