リーダーの「ひとこと」が職場を変えるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2017年04月13日 07時13分 公開
[伊庭正康ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「辞めたくなったら、いつでも辞めてもいいよ」、これが社長の口ぐせですが、それでも社員は退職しません。

 つまり、ネガティブなことは職場にはたくさんありますが、本当の問題は限られており、必要以上に問題を増やさない冷静さも大事です。

ひとこと4:「差し支えなければ、教えてもらってもいい?」

 ここで大事なことは、リーダーが部下に尋ねる際、いかにして本音を引き出せるかです。部下に「大丈夫?」と聞いて、「はい、大丈夫です」をうのみにしてはいけません。弱みを見せたくない人も少なくないからです。こう聞くとよいでしょう。

 「差支えなければ、教えてもらってもいい?」と。まず、「はい」となります。すると、自然な流れで本心を聞き出せます。

「差し支えなければ、教えてもらってもいいかな?」

「はい」

「顔色がさえないようけど、夜はぐっすり眠れている?」

 聞きにくい質問にこそ、本心が隠れていることも多いので、実践してみることをお勧めします。

ひとこと5:「○○さん、おはよう!」

 リーダーから、名前を呼ばれるとうれしいものです。例えば、あいさつ。

「山田さん、おはようございます。」

「高橋さん、今日もお疲れさま」

 名前があるだけで、何気ないあいさつも「うれしい瞬間」に変わるものです。職場の雰囲気もよくなるので、おろそかにはできません。

 これが上手なのは、笑福亭鶴瓶さん。相手が誰であろうと、一瞬にして距離を縮めるコミュニケーションは、もはや名人芸です。ふと、鶴瓶さんが対談中に相手の名前を呼ぶ回数が気になったので、数えてみました。なんと、冒頭の3分で、9回。マツコ・デラックスさんとの対談で、「マツコ」と呼んだ回数です。

「マツコが、今来ましたね。マツコ入ります、まさに今、マツコが入りますよ。」

「ところで、マツコはどうなの?」

「せんど(何度も)言っているマツコ見て、おかしかったわ」

「もし、マツコが出てくれたら」

 対談が始まってからの名前を呼ぶ頻度。想像以上の多さでした。

 職場での実践としては、話を切り替える際に名前を添えるといいでしょう。

「ところで○○さんは、そのことについて、どのように……」

「なるほど。ということは、○○さん。この件については……」

「やっぱりそうでしたか。その時、○○さんは……」

 リーダーが、この技を会得すれば名前を呼ぶ頻度は確実に増え、職場に活気が出てきます。

ひとこと6:「そのスタンス、最高!」

 あなたにも経験はないでしょうか。リーダーに褒められ、それが大きな励みになった経験が。実は、上手な褒め方には共通点があるのに気付いていますか。「出来事ではなく、スタンス、能力(内面)を褒めている」ということです。

 「頑張った」ことに対して、「頑張ったね」と褒めているなら、それは出来事を褒めているにすぎません。褒めるべきは、頑張ったスタンス(内面)です。

「よく頑張ったね。忙しい中、納期より早く仕上げる、その姿勢は最高! ありがとう。」

 いかがでしょう。同じ褒めるシーンでも、与える効果は大きく変わります。

 そのために、日頃から取り組んでほしいことがあります。「観察」です。リップサービスで褒めることは避けねばなりません。かえって「バカにしているのか」と思われかねません。

 事実をしっかりと把握しておくことが重要です。

まとめ

 今回は、リーダーが職場で使いたいひとことを紹介しました。案外、何気なくリーダーが発するひとことに職場は影響を受けるものです。ぜひ、1つでもいいので試してみてください。ほんの少しでも職場をポジティブな方向に導ければ幸いです。

著者プロフィール:伊庭正康

らしさラボ 代表取締役(セールス・セールスリーダー育成トレーナー)。

1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。リクルート社においても珍しいとされるプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。

2011年らしさラボを設立。営業リーダー、営業マンのパフォーマンスを飛躍的に向上させるオリジナルの手法(研修+コーチング)がリーディングカンパニーの目に留まり、年間260回の営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は91%。

また、ストレスコーピングコーチとして、ビジネスパーソンのメンタルタフネス強化の支援も行っている。近著には、『仕事の速い人の手帳・メモのキホン(すばる舎)』『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆