あなたは誰に価値を提供していますか? と聞かれたときに答えられるだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
「ビジネスパーソンは『自分という商品づくり』を考えることが必要だ」というのは、マーケティングのプロとして、『100円のコーラを1000円で売る方法』(シリーズ累計60万部)、『これいったいどうやったら売れるんですか?』(10万部)などのベストセラーを手掛けてきた永井孝尚さんだ。『「あなた」という商品を高く売る方法 キャリア戦略をマーケティングから考える』(NHK出版新書)を出版したばかりの永井さんに、話を聞いた。
こんなことで悩んでいる人は、意外と多いのです。
「日々の仕事が忙しくて、将来のことを具体的に考えられない」
「同期の友人は昇進して活躍している。正直、焦っている」
「仕事でなかなか芽が出ない。このまま仕事を続けていていいのか、将来が不安だ」
自分を中心に「キャリアをどうしよう……」とほとんどの人が考えます。「ではあなたは誰に価値を提供していますか?」と聞くと、答えられない人は意外と多いのが現実です。
あなたのキャリアは、他人からどれだけ必要とされるかで決まります。
例えば勤務先が「この仕事は、あなたにしかできない」と思えば、社内で高く評価されるようになります。転職でも「ウチの会社には、この人のスキルがどうしても必要だ」と考える会社があれば、好待遇で迎えられます。
あなたのキャリアは、「あなたという商品」の価値を必要な人が、高く買ってくれることで決まるのです。だから「あなたという商品」の価値を高める戦略が必要になります。
昔は、自分のキャリアは会社任せでした。会社があなたのキャリアの面倒をちゃんと見てくれていたからです。しかし今は多くの会社に余裕がありません。誰もが「安泰」と思っていた会社が、5年後には人員を削減する時代です。会社任せのキャリアは、リスクが高いのです。
ここで役立つのが、マーケティング戦略の考え方です。「マーケティング」というと、「広告や宣伝だ」と思う人も多いのですが、これらはマーケティング戦略のごく一部。マーケティング戦略は、企業の商品の価値を高めて、より多くの顧客に届ける方法を整理し、誰にでもできるようにまとめたものです。ここで「企業の商品」を「あなたという商品」に置き換えれば、マーケティング戦略の考え方を活用して、価値を高めることができます。
一方、マーケティング戦略というと「難しそう」と感じる人が多いのも現実です。そこで本書では、マーケティング戦略を全く知らない人でもよく分かるように、身近な企業や個人の事例を取り上げながら紹介しています。
第1章 「競争しない」ための戦略(競争戦略論)
第2章 AIに仕事を奪われない方法(イノベーション)
第3章 「戦わずして勝つ」のが真の戦略(バリュープロポジション)
第4章 「あなたの強み」を育てる(強みの構造とセレンディピティ)
第5章 リスクを下げて何度も挑戦する(リアルオプション理論)
第6章 没頭すれば一流になれる(内発的動機付けとフロー理論)
第7章 あなたの物語が奇跡を生み出す(センスメイキング理論)
第8章 失敗があなたの武器になる(仮説検証とアダプト思考)
第9章 コンフォートゾーンから脱出せよ(ダイナミックケイパビリティ)
第10章 「自分のため」から「社会のため」(ソーシャルネットワーク理論と利他的動機付け)
以下のように考えている人は結構多いですよね。
「自分の商品価値を高めるには、ライバルと戦い続けて、勝たないとダメだ」
マイケル・E・ポーターの「競争戦略理論」によると、これは間違いです。
世の中では牛丼業界のように価格競争が激しくもうかりにくい会社と、競争しないで業界シェアを独占してもうけている会社があります。
競争戦略理論に、この答えがあります。完全競争はもうかりません。ライバルが多数でどこも似たり寄ったりの商品だったら、差をつけられるのは価格だけで値下げ合戦になります。ライバルがいない完全独占になれば、値下げをせずにもうかります。競争から離れることで企業の収益性が決まるのです。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授