「自分」という商品をつくれ!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2017年08月17日 07時17分 公開
[永井孝尚ITmedia]
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 簡単に言えば、競争戦略とは「戦うための戦略」ではなく「戦いを避けてもうける方法」を考える戦略です。

 個人も同じです。「あなたの代わりはいくらでもいる」という状態では、評価も低くなりがちです。自分も疲弊しますよね。だから狙うべきは「誰もやっていない」完全独占の状態です。この完全独占を狙う戦略が、あなたという商品価値を高めることにつながります。

第4章:「あなたの強み」を育てる

 あなたの「強み」は、3つの要素のかけ算で成り立っています。

 強み=資質×仕事で得る技術×仕事で得る知識

 「資質」とは、「あの人は慎重だ」「人の気持ちに敏感だ」「一度やると言ったら曲げない」といったような、誰もが持っている先天的な性格です。強みを育てるには、まず仕事で自分の「資質」を生かせるポイントを探して、仕事を好きになって続け、「技術」と「知識」を育てることです。

 しかし、このように思う人も少なくありません。

 「与えられる仕事ばかりで、仕事が選べません……」

 現実には、希望していない仕事をすることが多いものです。ここで役立つのが「セレンディピティ」という考え方。青カビの研究をしていて抗生物質ペニシリンが偶然見つかったように、当初期待していなかった価値が、偶然発見されることです。

 私の知り合いで、高校を卒業してメーカーに就職した人がいます。最初の仕事は店頭でのカメラ販売。自分が撮影した写真を作例として展示したら、カメラが面白いように売れて「写真って面白いなぁ」と思いました。そして写真の仕事を増やしていき、今はフリーランスとして写真全般の仕事をしています。当初は希望しなかった店頭販売で、好きになるポイントを見つけたのです。

 まずは今の仕事で好きになるポイントを見つけることが、あなたの強みをつくり、商品価値を高める近道なのです。

第6章:没頭すれば一流になれる

 強みを育てるのに必要なのは、好きになった仕事で夢中になることです。

 「お金をもらうのに、仕事を好きになって夢中になれなんて、理想論じゃないの?」と思うかもしれません。

 動機付け理論で、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」という考え方があります。

 「いい成績を取ったらご褒美をあげる」と言われた子どもは、ご褒美がなくなると勉強しなくなります。これが外発的動機付けです。一方で生き物に興味を持った子どもは、生物の授業は夢中になって学ぶし、分からないことは自分で調べて学びを深めます。これが内発的動機付けです。

 物事が上達するコツは、続けることです。内発的動機付けで、仕事が好きになり、継続すれば、あなたの強みの種は育っていきます。その成長を加速するのが、「夢中になって没頭する」というフロー体験なのです。

 本書からいくつかの例を紹介しました。

 あなたの回りにも、「これはあの人にしかできない」と誰もが認める人が、きっといるはずです。彼らは「自分という商品」のつくり方や売り方が上手な人たちです。しかし彼らは特別な人ではありません。あなたも彼らと同じように、「あなたという商品」の価値を高めることができるのです。

著者プロフィール:永井孝尚(ながい たかひさ)

マーケティング戦略アドバイザー

1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。製品開発マネージャー、マーケティングマネージャー、人材育成責任者を担当。2013年に同社を退社して独立。ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。幅広い企業や団体へ講演やワークショップ研修を実施。さらに執筆、メディア出演などで、多くの人たちにマーケティングの面白さを伝えて続けている。

主な著書に、シリーズ60万部の『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)、10万部の『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SB新書)ほか、多数。


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