読書会で企業の組織開発を図る――事前に読まない読書会「Read For Action」を体験するITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

「読書会」と聞くと、1つの場所で静かに本を読み、読み終わったら意見交換をするというイメージがある。しかし、Read For Actionメソッドを活用した「読書会」では、事前に書籍を読むことなく、読書会に書籍を持ち込み、参加者同士でディスカッションや対話を重ねながら、書籍の内容を理解する。

» 2018年01月17日 07時06分 公開
[山下竜大ITmedia]

事前に書籍を読まない「読書会」とは?

Initiative&Solutions.Inc 代表取締役 渡邉信光氏

 ITmedia エグゼクティブ勉強会に、Initiative&Solutions.Inc社の代表取締役で、組織・人財開発コンサルタント 渡邉信光氏が登場。

ハーバード・ビジネス・スクール教授であるクレイトン・M・クリステンセン氏の著書『ジョブ理論 〜イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム〜』をテキストに、「Read For Action」メソッドを活用した「読書会」ワークショップを開催した。

 参加者はさまざまな業種や部署のエグゼクティブ層約30人で、5グループに分かれて約3時間の読書会を行った。

 Read For Actionは、日本最大級の“行動するための読書会”ネットワークである。「読書会」といえば、テーマに沿った書籍を事前に読み、参加者が読書会の場で意見や感想を語り合う会をイメージする。しかし、Read For Actionは、事前に書籍を読むことなしに会場に持ち込み、読書会の企画・進行役であるリーディング・ファシリテーターを中心に、参加者が読書会の場で書籍のエッセンスをつかみ、コミュニケーションを取りながら、内容の理解を深める場である。

 現在、認定資格を取得しているリーディング・ファシリテーターは、全国で390人以上(2017年5月現在)、年間の読書会開催数は、1300回以上。年間参加者数は、1万2000人を超えるという(2016年実績)。渡邉氏もリーディング・ファシリテーターの認定資格を取得しており、専門分野である企業向けの組織開発系ワークショップなどで、Read For Actionメソッドを活用している。

 ちなみに、2015年に渡邉氏が登場したITmedia エグゼクティブ勉強会では、LEGOブロックを活用してビジョンを共有し、共感コミュニケーションを醸成する新手法「LEGOシリアス・プレイメソッド」のワークショップが開催されている。

(参考)ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート:大人が夢中のブロックによる作品で想いを共有

参加者のディスカッションは、著書に対する質問者や著者自身になって行う

 今回の読書会に活用した書籍『ジョブ理論』は、「顧客は単に商品を購入しているのではなく、現在抱えている“ジョブ”を、商品を“雇用”することで片付けるため」という最新のイノベーション理論。書籍では、「ミルクセーキを購入するのはおいしいからではなく、通勤時間のひまつぶしという“ジョブ”を片付けるためにミルクセーキを購入(雇用)する」と紹介されている。“ジョブ”とは、ある特定の状況で、顧客が追い求める進歩(ブログレス)であると、著者のクレイトン・クリステンセン氏はは定義している。

 クリステンセン氏は、著書『イノベーションのジレンマ』で、破壊的イノベーションの理論を提唱して一躍有名になった。渡邉氏は、「ハーバード・ビジネスレビュー誌の2017年3月号にも、“顧客は何にお金を使うのか”というレポートが掲載されているので、興味があれば読んでみてほしい」と話す。

 読書会ワークショップは、4〜6人のチームで実施。まずは、お互いに、名前、参加目的、最近感動したことなど、1人1分程度の自己紹介で場を温める。テーブルには、模造紙と付箋紙、赤・黒のペンが用意され、ワークショップの成果を付箋紙に記入して、模造紙に貼っていく。この作業プロセスを通じて、最終的には書籍の中身、著者の主張を理解することができる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆