読書会で企業の組織開発を図る――事前に読まない読書会「Read For Action」を体験するITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2018年01月17日 07時06分 公開
[山下竜大ITmedia]
前のページへ 1|2       

 事前に書籍を読まずに、どうやって読書会の場で本の中身を理解するのか。ここがRead For Actionの最大のポイントである。リーディング・ファシリテーターによっても、方法は異なるので詳細は割愛するが、興味があればRead For ActionのWebサイトに紹介されている読書会か、渡邉氏のワークショップに参加してみてはいかがだろうか。

 今回の読書会ワークショップの概要は、以下の通り。

(1)『ジョブ理論』の著者であるクリステンセン氏に対する「質問」を作成する。

(2)その質問に対する「回答」を全体で検討し、共有する。

(3)代表的な質問と回答を、書籍の章ごとに整理し、担当グループが発表する。

 担当グループの発表の際に、渡邉氏は、「発表者は、ポケットに手を入れたり、歩き回ったり、クリステンセン氏になったつもりで発表してほしい。ただし、この手法はRead For Actionの標準ではなく、あくまでもこの読書会オリジナルの演出なので勘違いのないように……」と笑う。Read For Actionでは、最後にワークショップを通じて学び感じたことの中から、仕事や職場で生かしたいことを付箋に書いて発表する。

 勉強会は通常1時間半だが、今回のRead For Actionメソッドを活用した読書会ワークショップは約3時間の取り組みとなった。参加者の感想は次の通りで、本を読む姿勢に新たな気付きがあったようだ。

 「事前に想像していた(読書会の)イメージとは、まったく違っていた。目的意識を持って本を読むことで、自分と人の視点の違いが分かり、仕事のやり方も変わる気がした」

 「自分一人で読むと、パラパラと読んで大まかに理解できるが、読書会を経験したらより深く理解できた。思ったより、時間が“あっ”という間に過ぎた」

 渡邉氏は、「書籍を読むときに、問題意識を持って読む人はあまり多くない。問題意識を持って著者と対話するように、本を読むと、その内容をより深く理解できる。さらに、大勢でワイワイガヤガヤお互いに共感しながらやることで、よりその本に興味が湧き、頭に残りやすくなる」と話し、ワークショップを終了した。

 幹部社員を含めビジネスマンが書籍を読む機会が少なくなっている。読書会を企画しても事前に書籍を読む時間が捻出できず、参加者が集まらないことも多い。

 事前に書籍を読まずに参加するという、このRead For Actionメソッドを活用した「読書会」は、書籍に記載されている知識や知見を学べるばかりではなく、参加者同士が意見を自由に交換し、共感的なコミュニケーションを行える「場」となっている。新しい組織開発手法を垣間見た勉強会だった。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆