累計販売本数600万本を超え、20秒に1本売れる大ヒット製品である「ホットクレンジングゲル」を製造・販売するランクアップ。ほぼ全社員が残業ゼロで、創業から10年間、右肩上がりの会社を実現できた理由を紹介するとは?
ITmediaエグゼクティブ オープンセミナーに、ランクアップの代表取締役である岩崎裕美子氏が登場。著書「ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社」の内容に基づき、いかにブラック企業の取締役から超ホワイト企業の社長になり、ほぼ全員残業ゼロなのに、10年連続で売上高が伸びている会社を実現できたのかその秘密を紹介した。
ランクアップは、オリジナルブランド「マナラ化粧品」の開発および通信販売を事業として展開している化粧品メーカーである。代表製品である「ホットクレンジングゲル」は、20秒に1本売れる大ヒット商品だ。すでに累計販売本数600万本を超え、2016年9月期の売上は約90億円を予想しているという。
驚くべきは、45名の社員が17時に帰社する、ほぼ残業ゼロの状況でありながら、2005年の創業から10年間、右肩上がりの成長を続けていることである。また2013年には、東京都が実施する東京ワークライフバランス認定企業の「育児・介護休業制度充実部門」に認定されている。これは通信販売業者としては、初めてのことである。
ランクアップは、なぜ残業をしないことにこだわったのか。岩崎氏は、「ランクアップを起業する前は、ブラック企業の取締役だった。ベンチャーの広告代理店だったので、夜を徹して働かなければ競合に勝つことができないと思っていた。そのため最長でも3年しか社員が耐えられず、離職率100%の会社になっていた。特に女性社員は、結婚や出産で残業ができなくなり退職してしまう。このままでは、人材の流出を止めることができず、会社を成長させることができないと思った」と話す。
自分自身も35歳になり、結婚や出産をしたいと思うようになったが、自分自身も出産をすると会社をクビになることに気が付いた。そこで将来に夢が持て、長時間労働が不要で、女性が一生働くことができる会社をつくらなければならないと考えるようになり、設立したのがランクアップである。
化粧品メーカーを創業したのは、前職で夜も寝ずに仕事をし続けた結果、実年齢よりも見た目が老け込んでしまっていたので、自分で開発し、若返ろうと考えたそうだ。
「化粧品を作ったことはなかったので、周囲からは"あたま大丈夫?"と言われたが、情熱だけはあったので何とかなると思っていた(笑)。そして何人子どもを産んでも、定年まで、安心して働き続けることができる会社にしようと決めた。実際に創業からこれまで、残業をすることなく会社を成長させてきた」(岩崎氏)。
女性が一生働くことができる会社をつくることができたポイントは、大きく以下の3つである。
(1)差別化した製品づくり
(2)分かりやすい広告力
(3)親切で丁寧なサービス
化粧品メーカーとしては後発のランクアップは、他社と同じものをつくっていたのでは、市場競争に勝つことができない。そこで(1)差別化した製品づくりが重要になる。岩崎氏は、「売れそうなものとか、流行りのものとかをつくるより、自分が本当にほしいものをつくる方がゴールを明確にできる」と言う。
「広告代理店時代に、強力な合成洗顔料を使って化粧を落としていたので、顔の皮膚が傷み、そのため年齢よりも老けて見えることに気がついた。そこで、肌に優しい美容液の成分を中心とした洗顔料をつくれば若返れるのではないかと考え、生まれたのがこれまでになかったホットクレンジングジェルである」(岩崎氏)。
また、広告代理店で働いていたときに、売れなさそうな広告原稿をつくるクライアントを数多く見てきた。そこで、分かりやすい広告力が不可欠だと考えた。さらに親切で丁寧なサービスだが、製品に社長室あてハガキを同封しており、利用者が感想や要望、を書けるようになっている。
もらったハガキには、必ず返信し、常に改善を繰り返している。例えば、チューブの口が小さく、最後までゲルを絞り出せないという指摘が多かったので、チューブの口を大きくした。この3つのポイントすべてを追求することは非常に難しい。それができるのが、ランクアップの強みである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授