「あなたはなぜ、今、その仕事をしているのか?」と聞かれて答えられるだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
「私たちビジネスパーソン一人一人が“コレやりたい!”を考え、“あるべき姿”に向かって仮説検証を回せば、売れるようになるし、日本も成長する」というのは、マーケティングのプロとして「100円のコーラを1000円で売る方法」(シリーズ60万部)、「これいったいどうやったら売れるんですか?」(10万部)などのベストセラーを手掛けてきた永井孝尚さんだ。『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証』(幻冬舎)を出版した永井さんに、話を聞いた。
日本経済は20年で3分の1に縮小しています。「まさか」という人が多いのですが、事実です。
世界における日本のGDP比率は、1994年の17.9%から2016年は6.5%に減少。世界トップ企業上位500社をランキングしたフォーチュングローバル500の日本企業は、1994年の149社から2017年は51社に減少。数字の上でも3分の1に縮小したのは明らかです。
「日本経済は暴落する」という人もいますが、既に日本経済は大暴落。これが現実です。
「少子高齢化が原因だ」という意見もありますが、同時期の日本の生産年齢人口は12%しか減っていません。いろいろな原因が指摘されていますが、私は、トップも現場も判断停止し、低迷する組織が増えたためだと考えています。
しかしこういうと、こんな大合唱が聞こえてきそうです。
「とんでもない。現場では一生懸命仕事をしている」
「判断停止なんて失礼な。必死に考えているよ」
でもそんな人に、「あなたはなぜ、今、その仕事をしているのですか?」と聞くと、こんな答えが返ってくることも多いのです。
「上司に言われたから」
「会社の方針だから」
「だって仕事だから」
これらがまさに判断停止の症状です。ここには、あなた自身の考えがどこにもありません。最近不祥事を起こして大問題になった、あの官庁やあの大企業の担当者が言った言葉に、どことなく似ている感じもしますよね。その上司も、上司に言われています。しかしトップはみこしに乗っているだけ。結局、誰が本当にその仕事をしたいのか、突き詰めて考えるとよく分からない。これこそが、日本の組織全体が「衰退パターン」に陥る症状なのです。
日本の組織には、「成長パターン」もあります。問題意識を持ち、事実に基づき、謙虚に学ぶ時、日本は成長してきました。
江戸時代末期の日本は、成長に行き詰まり欧米列強に脅かされ「衰退パターン」に陥っていました。そこで地方の下級武士が明治維新の原動力となり、日本が欧米諸国に劣っている点を必死に学びながら、迅速に国家の体裁を整え、成長しました。
戦後の日本は、第二次世界大戦で焼け野原になり、米国に占領されました。再び「欧米に追い付け、追い越せ」と貪欲に学ぶようになり、高度経済成長を成し遂げました。
1999年、日産は負債2兆円を抱えて経営危機に陥りました。ルノー傘下での再建が決まり、カルロス・ゴーン氏がトップに就任。ゴーンは現場のエース級社員200人を集めて問題点を挙げさせ、わずか3カ月で「日産リバイバルプラン」をまとめあげ、社員一人一人にコミットメントを求め、リバイバルプランを1年前倒しで達成しました。
日本人は、一人一人が問題意識を持ち、「コレやりたい!」と明確に考え、謙虚に学び続けている時は成長します。しかし問題意識を失い慢心すると、途端に「衰退パターン」に陥るのです。
そこで私が提唱するのが「トルネード式仮説検証」です。「トルネード」とは「竜巻」という意味です。
単なる仮説検証ではありません。まずは「やりたい!」ことを決め、問題意識を共有する小さなチームを作り、大まかな仮説を立てたら、即実行。そして学びを積み重ね、まるでトルネードの上昇気流のように爆速で進化する方法です。
『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証』(幻冬舎)では、「トルネード式仮説検証」を全4章で分かりやすく紹介しています。
第1章 衰退する組織、成長する組織
第2章 トルネード式 仮説検証の進め方
第3章 「成長パターン」企業の取り組み
第4章 「実際にどうすればいいのか」問題と対応策
本書第2章で、「トルネード式仮説検証」の進め方を具体的に記しており、ここではその概略を紹介します。「トルネード式仮説検証」は3段階で進めます。
「コレやりたい!」)を決める
する
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授