判断停止を脱し、「成長パターン」に変わろう!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「あなたはなぜ、今、その仕事をしているのか?」と聞かれて答えられるだろうか。

» 2018年04月05日 07時17分 公開
[永井孝尚ITmedia]
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 「私たちビジネスパーソン一人一人が“コレやりたい!”を考え、“あるべき姿”に向かって仮説検証を回せば、売れるようになるし、日本も成長する」というのは、マーケティングのプロとして「100円のコーラを1000円で売る方法」(シリーズ60万部)、「これいったいどうやったら売れるんですか?」(10万部)などのベストセラーを手掛けてきた永井孝尚さんだ。『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証』(幻冬舎)を出版した永井さんに、話を聞いた。

日本が20年で3分の1に縮小した理由は、「判断停止しているから」

『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証』

 日本経済は20年で3分の1に縮小しています。「まさか」という人が多いのですが、事実です。

 世界における日本のGDP比率は、1994年の17.9%から2016年は6.5%に減少。世界トップ企業上位500社をランキングしたフォーチュングローバル500の日本企業は、1994年の149社から2017年は51社に減少。数字の上でも3分の1に縮小したのは明らかです。

 「日本経済は暴落する」という人もいますが、既に日本経済は大暴落。これが現実です。

 「少子高齢化が原因だ」という意見もありますが、同時期の日本の生産年齢人口は12%しか減っていません。いろいろな原因が指摘されていますが、私は、トップも現場も判断停止し、低迷する組織が増えたためだと考えています。

 しかしこういうと、こんな大合唱が聞こえてきそうです。

 「とんでもない。現場では一生懸命仕事をしている」

 「判断停止なんて失礼な。必死に考えているよ」

 でもそんな人に、「あなたはなぜ、今、その仕事をしているのですか?」と聞くと、こんな答えが返ってくることも多いのです。

 「上司に言われたから」

 「会社の方針だから」

 「だって仕事だから」

 これらがまさに判断停止の症状です。ここには、あなた自身の考えがどこにもありません。最近不祥事を起こして大問題になった、あの官庁やあの大企業の担当者が言った言葉に、どことなく似ている感じもしますよね。その上司も、上司に言われています。しかしトップはみこしに乗っているだけ。結局、誰が本当にその仕事をしたいのか、突き詰めて考えるとよく分からない。これこそが、日本の組織全体が「衰退パターン」に陥る症状なのです。

日本の「成長パターン」と「衰退パターン」

 日本の組織には、「成長パターン」もあります。問題意識を持ち、事実に基づき、謙虚に学ぶ時、日本は成長してきました。

 江戸時代末期の日本は、成長に行き詰まり欧米列強に脅かされ「衰退パターン」に陥っていました。そこで地方の下級武士が明治維新の原動力となり、日本が欧米諸国に劣っている点を必死に学びながら、迅速に国家の体裁を整え、成長しました。

 戦後の日本は、第二次世界大戦で焼け野原になり、米国に占領されました。再び「欧米に追い付け、追い越せ」と貪欲に学ぶようになり、高度経済成長を成し遂げました。

 1999年、日産は負債2兆円を抱えて経営危機に陥りました。ルノー傘下での再建が決まり、カルロス・ゴーン氏がトップに就任。ゴーンは現場のエース級社員200人を集めて問題点を挙げさせ、わずか3カ月で「日産リバイバルプラン」をまとめあげ、社員一人一人にコミットメントを求め、リバイバルプランを1年前倒しで達成しました。

 日本人は、一人一人が問題意識を持ち、「コレやりたい!」と明確に考え、謙虚に学び続けている時は成長します。しかし問題意識を失い慢心すると、途端に「衰退パターン」に陥るのです。

「成長パターン」を実現する「トルネード式仮説検証」

 そこで私が提唱するのが「トルネード式仮説検証」です。「トルネード」とは「竜巻」という意味です。

 単なる仮説検証ではありません。まずは「やりたい!」ことを決め、問題意識を共有する小さなチームを作り、大まかな仮説を立てたら、即実行。そして学びを積み重ね、まるでトルネードの上昇気流のように爆速で進化する方法です。

 『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証』(幻冬舎)では、「トルネード式仮説検証」を全4章で分かりやすく紹介しています。

第1章 衰退する組織、成長する組織

  • 「上が企画を却下するから、新しいことができない」という悩み
  • 海外は失敗前提で成長していく
  • 日本人の良さを生かすには

第2章 トルネード式 仮説検証の進め方

  • 「トルネード式仮説検証」の概要
  • 第1段階 「解決すべき問題」を決める
  • 第2段階 少人数プロジェクトで方向性を決定
  • 第3段階 仮説検証サイクルを回し続ける
  • 「あるべき姿」を実現する前に、必ず新たな「あるべき姿」を考える
  • トルネード式仮説検証で、個人も企業も変わる

第3章 「成長パターン」企業の取り組み

  • 「成長パターン」企業から学ぶ
  • 株式会社ジャパネットたかた (郄田旭人社長)
  • 日本マクドナルド株式会社 (下平篤雄副社長兼COO)
  • 株式会社ソラコム (玉川憲社長)

第4章 「実際にどうすればいいのか」問題と対応策

  • 計18個の問題と対策を列記

本書から読みどころをピックアップ

 本書第2章で、「トルネード式仮説検証」の進め方を具体的に記しており、ここではその概略を紹介します。「トルネード式仮説検証」は3段階で進めます。

  • 第1段階:「あるべき姿」を考え、「現状」を把握した上で「解決すべき問題」(=

「コレやりたい!」)を決める

  • 第2段階:少人数のプロジェクトチームを作り、方向性を決定する
  • 第3段階:仮説検証サイクルを回し続けて学びを進化させ「あるべき姿」を実現

する

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