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» 2019年01月16日 07時06分 公開

視点:「買う」はどう進化するか? 「買い方の未来」から事業価値を刷新する (1/4)

「買い方の未来」をふまえて、新しい事業価値刷新を検討するエクササイズをしてみたい。B2CやB2Bビジネスにおいて、新たな事業価値の発見ができればと考えている。

[中野大亮(ローランド・ベルガー),ITmedia]
Roland Berger

 消費者の「買い方」は、テクノロジーの進化もあってさまざまに多様化している。しかし、「買い方」が大きく変化している一方、消費者の根源的ニーズは昔から変わらずに脈々と続いている。本稿では、この「買い方の未来」をふまえて、新しい事業価値刷新を検討するエクササイズをしてみたい。B2CやB2Bビジネスにおいて、新たな事業価値の発見ができればと考えている。

 「買い方」に対する根源的ニーズには、(1)買うべきもの・買いたいものを「教えてほしい」(2)「失敗したくない」(3)「便利に入手したい」(4)買い物に「楽しみを加えたい」の4つが存在する。これらのかたまりはまた、複数のパターンに分化し、商品特性によって該当するものは異なってくるものの、さまざまな分野にまたがっている。

 この分野は昨今、スタートアップの台頭が目覚ましく、彼らは一見、ピンポイントでこれらのニーズを突いているように見える。しかし、それらをニッチな事業だと捉えるべきではない。消費者の根っこの欲求……根源的なニーズにアドレスしているからだ。全ての企業にとって検討してみる価値のある取り組みだと考えるべきではないか。

1、消費者の「買い方」は大きく変わりつつある

A)外出先で、目の前の人が履いていたスニーカーを大層気に入った。本人に聞いてみたがブランドも購入場所も忘れたという。そんなときは、GrokStyleアプリで写真を撮ると、当該商品や類似商品を特定でき、その場ですぐ購入できる。

B)メガネを買いたいが、どんなデザインがよいか分からない。Warby Parkerに依頼すれば、好みに合わせて自宅に5つのサンプルが届く。さらにInstagramに投稿すれば、いろんな人が「似合う」「似合わない」を評価してくれる。買うメガネを決めてそれ以外は返品。客観的な意見を活用できて失敗しない。

C)旅行に行ってしまうが、自宅に残すペットが心配だ。Wi-Fi接続で、エサの残量計測、自動発注、自動給餌ができるPetnet IOを使った。さらに、映像で食事中の様子と各種計測結果もアプリ上で見ることができ、安心して出掛けられる。

D)日本は現金が主流であり、決済がほんとうに面倒だ。テーマ投資ができるfolioにて、「キャッシュレス」というテーマでがんばっている企業10社の株式が組み合わされた金融商品を買った。日本がキャッシュレスで生活できる国になることを応援したい。

 このように、消費者の「買い方」は大きく変わってきている。30分以上も電車に乗って百貨店に出かけ、くまなくフロアを見て回り、へとへとになりながら、完全に好みではないけれど多少の妥協をして商品を買う。実際に買って利用してみると、なんだか違和感……といったこれまでの購買行動。それらが解決できる世の中になりつつあるようだ。

 自分のビジネスとは関係のないスタートアップのニッチな事業だと皆さんは思うだろうか? 私はそうは思わない。これらは、消費者の根っこの欲求……「根源的なニーズ」にアドレスしているからだ。全ての企業にとって検討してみる価値のある取り組みだと考えている。なお、今回は「価格」に関しては言及しない。

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