【新連載】あなたは部下の目に「信頼できるエグゼクティブ」として映っているか?部下から信頼されるエグゼクティブとは(1/2 ページ)

「上3年にして下を知り、下3日にして上を知る」という言葉がある。上司は部下のことを3年たってやっと理解するが、部下は3日もあれば上司の人間的な本質を見抜くという。

» 2019年06月10日 07時17分 公開
[朝倉千恵子ITmedia]

部下の目を意識しているか? 部下は常に上司を見ている!

 「上3年にして下を知り、下3日にして上を知る」という言葉があります。

 上司は部下のことを3年たってやっと理解するが、部下は3日もあれば上司の人間的な本質を見抜くという意味の言葉です。リーダー研修などでよく語られているので、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 部下は上司をとてもよく見ています。子どもが大人をジッと観察しているのと同じように、部下も上司を常に観察しています。部下は子どもと同じで立場が弱いもの。いざというとき自分の身を自分で守れないこともあります。だからこそ、「この人は自分を守ってくれるのか?」と見極めようとしています。

 さて、今回から全6回に渡り、「部下から信頼されるエグゼクティブ」をテーマとした連載をお届けします。第1回目のテーマは、外見。「この人は信頼できる」という印象を視覚に訴えかけるためにはどうすればいいのでしょうか?

 役職が上がり立場が上がっていくほど、外見が仕事のパフォーマンスに与える影響は大きくなります。一流のエグゼクティブと呼ばれるような人たちは、専門家にアドバイスをもらいながら、外見のイメージを戦略的に演出しています。

 とはいえ、私はファッションやヘアメークの専門家ではありませんので、今回は「仕事ができるエグゼクティブ」を演出するために必要な“存在感”、“品格”、そして“オーラ”の話をします。どれも漠然と捉えている人が多い言葉ですので、それぞれ意味を考えながら進めたいと思います。

存在感を高めるために必要なたった2つのポイント

 そもそも存在感のある人とは、どのような人でしょうか。

存在感

(1)その独特の持ち味によって、その人が紛れもなくそこにいると思わせる感じ

(2)そこに確かに存在しているという実感

(三省堂 大辞林)

 すれ違ったときに、ハッと振り返ってしまう。人込みの中でも、すぐに見つけられる。ついつい目で追ってしまう。あなたの周りにもそんな人がいませんか?“そこにいる”ことを強く感じさせる力のある人こそ、存在感のある人だと私は考えています。逆に存在感がないということは、影が薄いといえますね。

 存在感を決定づける大きな要素が「姿勢」と「立ち居振る舞い」です。この「姿勢」と「立ち居振る舞い」が周囲の人と違えば、それだけ存在感が強まります。もちろん良くない意味の存在感でも同じことです。例えば、皆が姿勢を正して座っている最中に、ウロウロ歩いていたり、ものすごくだらしない姿勢で座っていたりすれば嫌でも目に付きます。

 「仕事ができる」「一流の」そんな形容詞がふさわしい存在感を醸し出すにはどのような「姿勢」と「立ち居振る舞い」を目指すべきでしょうか?答えは至ってシンプル。背筋を伸ばし、胸を張り、指の先まで意識をしながら、堂々とかつさっそうと動く。それだけです。「え?そんな当たり前のこと?」そうです。そんな当たり前のことなのです。

 実際には、シチュエーション別の立ち居振る舞いなど、言い出したら切りがないのですが、今これを読んでいる人の多くはすでに姿勢や、さまざまな立ち居振る舞いの正解の形を知っているはずです。言葉で説明できなくても、なんとなくイメージできるものがあると思います。椅子に座るときは背もたれにもたれない。気を付けの姿勢では、手を体側にピッタリとつける…など。そんな当たり前をどこまで徹底してやれるか、それが一流と二流、三流の違いだと私は考えています。

 新入社員研修でも伝えている、弊社の合言葉にABCD法則があります。

A:当たり前のことを

B:バカにしないで

C:ちゃんとやる。それが

D:できる人

 私の講演ではどんな階層の人がいても、このABCD法則を伝え、基本動作(気を付けの姿勢、あいさつ、お辞儀など)を実際に練習してもらうことがよくあるのですが、一番気合を入れて取り組んでくれるのは経営者です。そして経営者やリーダーが本気で取り組むと、部下もそれにつられて一生懸命実践してくれます。

謙虚で素直な姿勢こそが己の品格を引き上げる!

品格

その人やその物に感じられる気高さや上品さ。品位。

(デジタル大辞林)

 先ほどの存在感の話に出てきた「姿勢」や「立ち居振る舞い」はその気になったらすぐに正すことができます。常に良い状態をキープするのは簡単なことではありませんが、今の状態を改善するだけならば3秒もあればできます。

 しかし品格は、そう簡単ではありません。品格を感じさせるポイントはどこにあるのか? いくつか例を上げてみましょう。

  • 食べ方・飲み方のマナー
  • 言葉遣い
  • 笑い方
  • 文字の書き方

 など、これらが美しい人は、上品な印象を持たれるということはなんとなくでも理解できるのではないでしょうか。語弊を恐れずに言うと、品格を感じさせるポイントの多くは、「育ちの良さ」を感じさせるポイントと重なります。幼いころからしつけられ時間をかけて身につけていったマナーや礼儀です。一朝一夕に得られるものではありませんが、これも後付けの教育で身につけることができます。

 とある経営トップと研修を終えて会食をした際に、「朝倉先生、僕は子どものころから箸を持つのが苦手なんです。直した方がいいですか?」と質問を受けました。その人は当時60歳を超えていました。

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