デジタル化によって業務効率化を実現。イノベーションに向けた布石を打つ。
こんにちは、永井俊輔です。クレストHDの代表取締役を務めています。
クレストHDは、看板(サイン&ディスプレイ)事業など複数の事業を手掛ける会社です。同時に、伝統と歴史を持つ業界が次世代に向けた成長を実現できるように、既存の市場(レガシーマーケット)を刷新する支援をしています。
この取り組みを、われわれはレガシーマーケット・イノベーション(LMI)と呼んでいます。
前回はレガシー企業(レガシーマーケット内の企業)がLMIを実現する道のりについて書きました。
実現の道のりは2段階に分けられます。
1段目は、既存の事業を効率化し、生産性を高めることです。この取り組みを、われわれは「Lの世界」と呼んでいます。
2段目は、生産性向上の成果として生まれた利益(レガシープロフィット)を使い、市場を刷新するイノベーションを起こすことです。この取り組みを、「Iの世界」と呼んでいます。
連載3回目となる今回は、Lの世界について書きます。
Lの世界の命題は、既存の事業の生産性向上です。そのための手段としてもっとも効果的なのがIT、AIなどを活用するデジタル化の取り組みです。なぜなら、レガシー企業の多くはその点の取り組みが遅れていることが多いため、デジタル化のツールを導入することによってすぐに生産性がよくなることが多いからです。
クレストHDを例にすると、2011年から13年にかけて、社内のあらゆるインフラをデジタル化しました。例えば、以下のようなことです。
ここで挙げたようなツールは、いまはほとんど無償で使うことができます。どのツールから導入してもいいのですが、優先順位をつける場合は、手作業、手計算、人海戦術といったアナログな業務に手間と時間がかかっているところから始めるのが良いと思います。
また、中小規模のレガシー企業では、顧客との接し方、商品の作り方、売り方のノウハウ、業務をうまく回すコツなどを個々の従業員が感覚的に習得し、属人的になっていることがあります。そこを明らかにして優先的にデジタル化すると、先人から受け継いできたレガシー企業の強み(レガシーアセット)を共有しやすくなり、効率的に活用できるようになります。
新たなツールなどを導入したら、その効果(「便利になった」「仕事が楽になった」といった反応)を積極的にヒアリングし、共有しましょう。新しいツールを導入すると、従来のやり方が変わることに抵抗感を持つ人もいるかもしれません。しかし、便利なものは必ず普及し、浸透します。そのスピードを速めるために「便利だ」「楽になった」など、ちょっとした感動や小さな成功体験を実感してもらうことが大事です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授