同じ商品を販売しているのに、成果を上げる人と成果が上がらない人がいる。この違いは、どこにあるのだろうか。また、部下に信頼されるエグゼクティブになるためには何が必要なのか。
ITmedia エグゼクティブ勉強会に、新規開拓 代表取締役社長の朝倉千恵子氏が登場。「あなたは部下に信頼されるエグゼクティブとして映っているか」をテーマに、これまでの社員研修・人材育成の経験を生かし、部下に信頼されるエグゼクティブになるためには何が必要なのか、ワークショップを交えながら講演した。
「第一印象は数秒で決まる」といわれるが、数秒とは何秒ぐらいのことなのだろうか。心理学では第一声を発するまでが数秒にカウントされる。つまり第一印象は、6〜7秒で決まることになる。このとき、目から入る印象が80%、話し方が13%で、人柄はわずか7%しか伝わらない。
同じ人でも、「こんにちは!」と元気よく第一声を発するのと、「こんにちは……」と暗い声で第一声を発するのでは、第一印象は大きく異なる。営業のアポイントが取れても、第一印象が悪いために、2回目のチャンスがないこともある。また、男性から見たらすてきな女性でも、女性からの評価は非常に低いこともある。
人が第一印象で相手を決めつけてしまうのは、過去の記憶脳に原因がある。過去の経験から、第一印象がこういう人は、過去に会っただれだれと同じタイプとだからこんな人と勝手に決めつけてしまう。本当は、まったく違ういい人なのに、第一印象でビジネスチャンスを逃してしまうことになる。これは非常にもったいない。
部下や後輩から慕われている上司もいれば、肩書は立派だが部下から嫌われている上司もいる。こんな上司になりたい、こんな上司にはなりたくないという経験をしたことがある人は多いだろう。「上、3年にして下を知り 下、3日にして上を知る」という流通評論家の吉田貞雄氏の言葉がある。上司が部下を知るのは3年かかるが、部下は上司を3日で判断するということである。
朝、出社してきた部下を見て、何となく元気がないと感じたときに、腕組み、足組をして上から目線で「何かあれば相談に来い」と言っても、部下は絶対に相談に行けない。一方、近くに歩み寄って、同じ目線で「何かあれば相談に来い」と優しく言えば、部下は相談しやすくなる。上司が変わることで、部下の可能性が大きく広がることはよくある。
同じ言葉でも、目線1つで相手の感情はまったく違うものになる。部下に何を言うか以上に、どんな姿勢で部下と接するかの方が強く印象に残る。実際につきあってみないと、相手の人柄、人間性は分からない。その一方で、パッと見て、なんとなく出来そうという感覚もある。この、何となくという感覚は、とっても大事になる。人柄、人間性を変えることは難しいが、自分の見せ方を変えることは難しくない。
人にはそれぞれ、人生における転機がある。振り返ってみたときに、私自身の人生の転機は35歳のときだった。23歳で結婚して、24歳、26歳で子どもを産んだ。32歳で離婚をして、何をやってもうまくいかなくなってしまった。それが35歳のときである。
明日から、どうやって生きていこうと考え、再就職のために10社に履歴書を送ったが、35歳の女性を雇ってくれる会社はなかった。9社連続で不採用になり、心が折れそうになったときに、最後の1社の面接で、いきなり面接官から「営業をやらないか」と言われて驚いた。後に偏見と気が付くが、当時は営業に対し、言葉巧みに相手を説得し、無理やり商品を売りつける悪いイメージを持っていた。
営業だけはやりたくないと思っていたが、9社不採用になっているので「やります」と答え、この一言で、人生は大きく好転した。営業1年目で、新規開拓数でトップになった。この経験から、2004年に会社を設立するときに、会社名を「新規開拓」にした。新人も、ベテランも関係ない。新規お客さま開拓は平等なフィールドである。現在の営業成績トップ3は営業未経験者である。
未経験の人が、正しいやり方を教えるとびっくりするくらい成果を上げる。営業経験があると、自己流のやり方が身についているため、それを直すまでに時間がかかってしまう。だったら1から育てた方が早い。現在、17年間で39冊の本を出すことができたのは、あのとき営業を断らなかったからである。また、15年前に「嘉祥流観相師」という資格を取得した。これは、顔の相を見て素質と性格を割り出す学問である。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授