第一印象は6〜7秒で決まる――エグゼクティブは外見イメージが大切ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2019年11月19日 07時33分 公開
[山下竜大ITmedia]
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 嘉祥流観相学の勉強するきっかけとなったのは、35年間で17万人の人と会ったことだ。営業で、いろいろな人に会ってきたが、「この人は、いまは平社員だけど後に出世する」と感じる人もいれば、「いまは部長だけど、この人はここまで」と感じることがあった。22年を経て、「この人は、いまは平社員だけど後に出世する」と感じた人の多くの人は実際に出世をしている。

特に話を聞かないのがエグゼクティブ

 米国の心理学者であるアルバート・メラビアンは、「情報は、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、話の中身が7%しか記憶に残らない」と話している。例えば、講演会のワークショップで、「右手を顎に置いてください」と言って、ほっぺたに手を置くと、ほとんどの人がほっぺたに手を置く。「顎に手を置いてください」といっているのに、講師がした通り、ほっぺたに手を置くのは話を聞いていないからである。

 前提として、「目を閉じてください」といってから同じことをすると、ほとんどの人がちゃんと顎に手を置く。つまり、多くの人は人の話を聞いているのではなく、見ているのである。中でも、特に話を聞かないのがエグゼクティブだといわれている。一方、部下は、上司の服装、髪形、身だしなみ、靴、食べ方、飲み方など、全てを見ている。

 課長や部長は、上司がならせてくれる。しかし部長より上に行けるかは、部下しだいである。これからの時代は「俺さまリーダー」では難しい。いまの若者は、家庭でも、学校でも、厳しいしつけを受けていない。社会人になって、初めて上司に怒られて、免疫がないので簡単に壊れてしまう。それでも、言うべきことは、言わなければならない。そこで目指すべきは、「おかげさまリーダー」である。

 よく「アメかムチか」という言葉があるが、嫌われている上司はどちらもダメである。一方、好かれている上司は両方を持ち合わせている。ただし最近はハラスメント問題もあり、伝え方がなかなか難しい。それでは、厳しさとは何だろうか。厳しさの定義は、大きく次の5つである。

(1)私心がないこと

(2)見逃さないこと

(3)具体的であること

(4)率直であること

(5)本質を突くこと

 例えば毎週月曜日に、必ず数分間の遅刻をしてくる部下がいたとする。この部下に、どのように注意すればよいだろうか。「何で遅刻したんだ」といきなり叱ると、部下は必死に言い訳を考える。頭ごなしに怒っては、部下には響かない。「○○くん、3分遅刻。今月、2回目。信用なくすよ。30分早く家を出ておいで」と、対策まで含めて注意すれば、部下に響くかもしれない。

 ほんの少しのポイントで、部下を正しい方向に導くことができ、良好な人間関係を築けるようになる。

「はい」と返事をする人のところに仕事は集まる

 年間300回程度、いろいろなところで講演を行っているが、企業の決起大会に呼ばれることもある。そのとき、立ち上がってくださいと言うと、全社員が「はい」と返事をして立ち上がる会社がある。この会社は、上司が部下を呼んだときにも「はい」と返事をする。実は、「はい」と返事をする人のところに仕事は集まる。

 例えば、キャリアは長いが呼んでも返事をしない部下と、キャリアは短いが呼べば「はい」と返事をする部下のどちらに仕事を頼みたいと思うだろうか。多くの上司は返事をする部下に、より重要な仕事を与えるだろう。重要な仕事をこなしていけば、その部下は高いスキルを身につけ、より高い役職につくことができる。こういう会社は、非常に強い会社になる。

 「はい」と返事をしても性格が変わるわけではないが、形から入ることで心は後からついてくる。背中を丸めて下を向いている上司と、胸を張って堂々と歩いている上司、部下はどちらの上司を誇れるだろうか。姿勢が良いとは、姿に勢いがあるということ。

 目からの情報はバカにできない。また、部下を育てるためには我慢も必要。ある朝、3歳の子どもを保育園に預け、会社に行かなければいけない父親が、急いで子どもに服を着せようとする。すると子供が「パパやらないで」という。父親が困惑していると、母親に「1人で着られるようになったので、パパに見てほしいのよ」と言われて状況を理解する。

 会社でも、部下に任せるべき仕事を、自分がやった方が早くて正確なので、自分でやってしまっていないだろうか。こうした上司の行動は、部下を育てることができないし、もしかしたら部下を傷つけているかもしれない。「何回言ったら分かる」と怒る上司もいるが、心理学上では、人は平均532回言わないと分からないという。

 教育(人材の育成)には、“本気”と“根気”と“覚悟”が必要である。これができるかどうかが、次世代の人材を育成するカギであり、自分自身が真のリーダーになれるかどうかの分かれ目でもある。

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