スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とはITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

個人やリーダーの成長を氷山に例えると、成果は氷山の一角にすぎない。氷山を大きくするためには、水面下に隠れている「スキル」や「ふるまい」、さらに「思い、哲学」が重要になる。

» 2019年01月21日 07時19分 公開
[山下竜大ITmedia]
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 ITmedia エグゼクティブ勉強会に、アイランドクレアの代表取締役である吉田行宏氏が登場。創業時から経営幹部としてガリバーインターナショナル(以下、ガリバー:2016年7月に社名をIDOMに変更)で培った経験に基づき、「エグゼクティグリーダーに必要な組織マネジメント力 〜リーダーが仕事と人生の正しいマインドセットを持つと、チームは劇的に変わる〜」をテーマに講演した。

ガリバーでの経験を生かし企業の経営戦略を支援

アイランドクレア 代表取締役 吉田行宏氏

 2012年8月に設立されたアイランドクレアは、事業創造支援、事業戦略立案・推進支援・経営幹部育成支援などを事業として展開している。吉田氏は、「現在、3社の代表および役員、3社の社外取締役、6社の戦略顧問、20社のエンジェル(出資支援)など、合計27社に支援を行っています。ビジョンは、100人の世界に通用する優秀な経営者を育てること、彼らとともに新しい価値の創造をすることです」と語る。

 吉田氏の原点でもあるガリバーは、会社設立から10年未満で10億ドルを達成した「ハイパーグロースカンパニー」の1社。ハイパーグロースカンパニーは、マイクロソフトやデル、グーグルなど、世界でも10数社しかなく、日本ではガリバーだけ。一方、「働きがいのある会社」のランキングでも上位に入る。吉田氏は、「非常識経営でも有名で、自動車業界の常識を覆してきました。この会社での経験をもとに、さまざまな企業の経営戦略を支援しています」と話している。

会社が成長するために必要不可欠な4つの要素

 「ガリバーでの経験から、会社やチームが成長するためには、必要不可欠な4つの要素があります。(1)ミッション/ビジョン/BHAG(Big Hairy Audacious Goals:社運を賭けた大胆な目標)、(2)戦略力、(3)組織力/人材力、(4)市場創造力・イノベーションです。(1)ミッション/ビジョン/BHAGに対し、(2)戦略力と(3)組織力/人材力の両輪を回すことにより、(4)市場創造・イノベーションを生み出すことができます」(吉田氏)

会社の成長に必要不可欠な4要素

 ガリバーの(2)戦略力としては、まず直営で買い取り専門店をスタートし、次にフランチャイズ展開、出張買い取りサービス、画像販売システム、店舗の大型化、10年保証や返品可能なシステム、付帯サービスの強化といった戦略を積み上げることで成果を上げてきた。しかし実はガリバーは、戦略力だけで成長した会社ではない。1000社以上の組織力調査において、トップ10に入るといわれるほど組織力が強かったこともガリバーの強みだった。

 一般的に、組織マネジメントにかける工数は、担当者、監督者、管理者、経営者と立場が上になるほど多くなる。(3)組織力/人材力を強化するために必要なのは、「理論・ノウハウ」と「トレーニング・実践」である。例えばカラダを鍛える場合、まずは本やネットから理論やノウハウを学び、学んだ理論やノウハウを生かして、トレーニングをしたり、実践したりすることで理想のカラダを実現する。

 吉田氏は、「(3)組織力/人材力の強化も、まったく同じです。理論やノウハウを知ろうとする企業は多いのですが、トレーニングや実践を本格的に行う企業は少ないのが実情です。当たり前のことが、当たり前にできていない企業は、意外に多いのです。つまり、(2)戦略力と両輪である(3)組織力/人材力においては、全社で工数を確保して、信念をもって実践していかなければ、会社を成長させることはできません」と話している。

個人の成長に必要な「成長マインドセット」とは

 個人の成長も会社の成長と同じで、スキルだけでは成長できない。そこで重要になるのが「成長マインドセット」である。それでは、成長マインドセットとは何か。マインドセットとは、経験や教育、生まれ持った性質などから形成される思考様式であり、信念や心構え、価値観、判断基準である。吉田氏は、「個人が成長するためには、スキルだけでなく、成長マインドセットが必要になるのです」と話す。

 個人の成長は、アイスバーグ(氷山)に例えられる。“氷山の一角”という言葉があるが、氷山の見えている部分を“成果”とすると、成果は氷山のほんの一部だ。水面下の見えない部分には、(1)能力・スキル、(2)ふるまい・習慣・行動、(3)意識・思い・人生哲学があり、この3つの項目により成果が上がる。この3つの項目を知ることが、個人の成長につながる。

アイスバーグモデルとは
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