発展目覚ましいアジア諸国と日本、この10年の決定的な違いサイバーセキュリティマネジメント海外放浪記(2/2 ページ)

» 2020年01月15日 07時09分 公開
[鎌田敬介ITmedia]
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日本人参加者と海外参加者

 トレーニングを始めた2007年当時は、東南アジア、特にASEAN10カ国の参加者向けに実施する機会が多くありました。これらの国は、この10年ちょっとでめざましい発展を遂げました。それは、参加者の質もレベルもどんどん上がっていることからもよく分かります。当時と今では参加者の英語レベルも段違いです。今の参加者(特に若者に顕著)は欧米で教育を受けて自国に戻ってきている人も多いため、英語で活発に議論し、資料もきれいにまとめてプレゼンテーションしてくれます。

 トレーニング後も質問に来るし、FacebookやLinkedinで私のアカウントを見つけてコネクションを維持しようとする人も珍しくありません。参加者から数年ぶりに連絡が来たかと思えば「今度セキュリティのイベントをやるんだけど講演者として来てもらえないか?」というようなこともあります。一緒に食事などをすると彼らからは「自分の国の発展を支えたい」という言葉が自然と出てきます。

 一方、多国籍な参加者でトレーニングに日本人がいる場合、知識や経験は豊富なはずなのに英語の問題であまり活躍できていないことが多くあります。日本国内で日本人向けにトレーニングを行う場合も、参加者同士で議論してもらうきっかけを作るのが大変です。

 日本は何年も経済成長が止まっているとよくいわれていますが、トレーニング参加者の質問の豊富さや内容、参加者同士の議論のアクティブ度を見ると、10年前と現在で、日本はあまり発展していないのだなと感じさせられることが多いです。

 何が違うのか、というとさまざまな観点はあるかと思いますが、決定的に違う、と私が感じているのは「遊び心」ではないでしょうか。ちょっとしたジョークを言う、笑える雰囲気を作る、プレゼンテーション資料に少し遊び心を入れておくといった柔らかくするための工夫が日本人にはまだまだ少ないように思います。そういった、積極的に場を作る能力の差異が質問や議論といったところに現れているのではないか、と最近は考えるようになりました。

 仕事は仕事、遊びは遊び、と区別するように教えられ育ってきた日本の社会人にはまだまだ難しいのかもしれませんが、仕事の中に遊びの要素を取り入れていくことが円滑なコミュニケーションの下地となり、楽しく仕事ができる環境にもつながっていく、そういった側面は無視できないと感じています。

 私自身もいろいろなところで遊び心を発揮し、ときには「ふざけている」というコメントもいただきますが、不寛容社会と呼ばれて窮屈な思いをしている若者が伝統的な日本企業を避け始めている原因の一つはそこにもあるのではないでしょうか。やはり海外の人と関わり、世界のあちこちを見ていると、日本がずれていると感じる場面が多くあります。

 サイバーセキュリティの話から大分逸れてしまったように見えますが、各組織が抱えるサイバーセキュリティの問題点は、技術的なことよりも組織的なことである場合が多いと思います。サイバーセキュリティに限りませんが、コミュニケーションギャップは大きな課題の一つです。とくに大企業では、さまざまな年齢層の人が同じ環境で働いていますが、年の差による価値観の違いが年々大きくなってきているように感じます。「コミュニケーション能力」が重要視されるようになってからずいぶんたちますが、その裏には、コミュニケーションする者同士の価値観(何をヨシとするか)の違いによるコミュニケーションギャップが大きな敵として潜んでいるのだろうと感じます。

【ITmedia エグゼクティブ研修】第2回サイバー攻撃対応机上演習CIO/CISOのためのインシデントハンドリング

 昨今のサイバー攻撃の増加、巧妙さを受け、ITmedia エグゼクティブでは、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)重要インフラグループ内閣参事官の結城則尚氏と、『サイバーセキュリティマネジメント入門』著者で、12年間に渡り、国内外でサイバー攻撃演習を実施している鎌田敬介氏をお迎えして開催します。

 4名程度のグループディスカッション形式で実施いたしますので、他者の視点や対応から新たな気付きを得たり、同組織から複数名で参加することでチームとしての対応力向上にもご活用いただけます。みなさまの挑戦、お待ちしております。

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■場所:アイティメディアセミナールーム 東京都千代田区紀尾井町3-12紀尾井町ビル

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著者プロフィール:鎌田敬介

Armoris 取締役CTO、『サイバーセキュリティマネジメント入門』著者

元ゲーマー。学生時代にITを学び、社会人になってからセキュリティの世界へ入る。20代後半から国際会議での講演や運営に関与しながら、国際連携や海外セキュリティ機関の設立を支援。2011〜14年 三菱東京UFJ銀行のIT・サイバーセキュリティ管理に従事。その後、金融ISAC創設時から参画し、国内外セキュリティコミュニティーの活性化を支援。並行して12年間に渡り、国内外でサイバー攻撃演習を実施するなど、経営層・管理者・技術者を対象に幅広く実践的なノウハウをグローバル目線で届けている。金融庁参与も務める。


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