リモートワーク時代の理想的な職場の仲間との関係性

少数の「斜に構えたメンバー」の悪影響を排除する(1/2 ページ)

満足度は高いのに職場が劣化している怪

『職場の「感情」論』

 職場満足度に関して、厚生労働省が2014年に行った「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、「職場生活全体」に対する満足度については、肯定的回答(「満足」+やや満足」)の割合が正社員で52.0%。項目別では、「仕事の内容・やりがい」が同68.1%であった。過半数は一定の満足をしており、「職場生活全体」について否定的回答(「不満」+「やや不満」)は12.4%であった。否定的回答者よりも肯定的回答者の方がはるかに多い結果となっており、職場満足度は決して低いとはいえない状況にある。

 しかし、経営者は職場への従業員の満足度に危機感を持っており、それは人事部門でも同様だ。「職場のうつ」など、メンタル上の問題や、「パワハラ」などの問題が増えているということもあろう。「職場が劣化している」、あるいは「職場力が衰退している」という認識を持っているケースが圧倒的に多いのだ。コロナ禍の中でリモートワークとなり、各チームの状況が見えづらい状況になってから、危機感はますます高まっている。

 私どもは仕事上、職場の問題をあぶり出すための診断を提供しているが、このニーズは近年増え続けている。しかし、実際に行ってみると、それらの結果はやはり決して悪くはないことが多い。「職場への満足度」について、平均値が5点満点で3点台後半になることが多いのだ。それにもかかわらず、経営者は危機感を抱いており、人事部や現場のリーダーたちも、年々状況が思わしくなくなってきているということを肌で感じているようなのだ。

 このスコアと肌感覚とのギャップの原因はどこにあるのだろうか。その原因を探っていて分かったことが1つある。それは、回答のばらつきが年々大きくなってきているということだった。回答のばらつきとは、高く評価している人もいれば、低く評価している人もいるのである。

 この傾向が近年、ますます強く見られるようになっている。ばらつきと言っても、職場ごとのばらつきは以前から大きくあった。芳しい状況の職場もあれば、停滞している職場もある。これ自体は不思議なことではない。しかし、気になるのは、同じ職場内でのばらつきの方である。

 同じ職場に所属している人の中でも、自職場の状況を肯定的に受け止めている人もいれば、否定的な人もいる。平均値が3点台後半といっても、皆が4点や3点に付けているのではなく、4点を付けている人もいれば、2点を付けている人もいる。5点を付けている人もいれば、1点を付けている人もいる。二極化と言ってもいい。平均をとれば、3点台後半になるような場合でも、1点や2点を付けている人が、少数派であっても、一定数存在しているのだ。そうした状況がおそらく、経営者や人事部、現場マネジャーの人たちの肌感覚としての危機感に現れていると推察される。

「斜に構えたメンバー」の存在が職場力を衰退へと導く

 統計上の数字には表れない危機的な状況が、実際にはあちこちの職場で起こっている。職場においてグループヒアリングの場などを持つと、さらにそうした状況が鮮明になる。例えば、職場改善に前向きな人がいる一方で、無関心であり、完全に閉じているような人、あるいは発言はせず、常に斜に構えた態度をとっている人がいたりする。

 そうした職場では、少数の閉じていたり、批判的な人たちによる悪影響で、人間関係が断絶してしまっており、前向きな活動などはまったく進まない状態にあったりする。当初は前向きだった人たちも、自分たちだけが一生懸命やっているのも徐々にばからしくなり、やがて傍観するようになる。ネガティブな影響力は大変大きいのである。

印刷する
SNSでシェア

リモートワーク時代の理想的な職場の仲間との関係性

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

相原孝夫
相原孝夫

人事・組織コンサルタント、作家、HRアドバンテージ 代表取締役社長 マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン) 代表取締役副社長を経て、2006年4月に当社設立し代表に就任。 慶應義塾大学商学部卒業、早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。 1965年生まれ、栃木県宇都宮市出身。1994年にマーサー社に入社以降、コンピテンシーに基づく人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わるプロジェクト、グローバル人材マネジメント、M&A後の人事・組織の融合等のコンサルティングに従事。 HRアドバンテージでは、人材・組織・仕事の可視化を軸にした、人材力・組織力の向上支援に力を注ぐ。旧労働省大臣官房政策調査部研究会委員、総務省研究会委員、日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。 著書に、『バブル入社組の憂鬱』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『会社人生は「評判」で決まる』『コンピテンシー活用の実際』(以上、日本経済新聞出版社)、『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか 』(幻冬舎)、『図解戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)ほか多数。 日経ビジネススクール、経営アカデミー(日本生産性本部)、早稲田大学ビジネススクール他での講義、講演、セミナーのほか、新聞、専門誌への寄稿、コメント多数。 主な著書に『会社人生は「評判」で決まる』(日本経済新聞出版社)、『ハイパフォーマー 彼らの法則』(日本経済新聞出版社)『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』(幻冬舎新書)など多数。

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー