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» 2021年06月23日 07時07分 公開

少数の「斜に構えたメンバー」の悪影響を排除するリモートワーク時代の理想的な職場の仲間との関係性(1/2 ページ)

職場への満足度調査をすると肯定的回答者が多い結果となるが、経営者は危機感を抱いており、人事部や現場のリーダーたちも年々状況が思わしくなくなってきているということを肌で感じているようだ。

[相原孝夫,ITmedia]

満足度は高いのに職場が劣化している怪

『職場の「感情」論』

 職場満足度に関して、厚生労働省が2014年に行った「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、「職場生活全体」に対する満足度については、肯定的回答(「満足」+やや満足」)の割合が正社員で52.0%。項目別では、「仕事の内容・やりがい」が同68.1%であった。過半数は一定の満足をしており、「職場生活全体」について否定的回答(「不満」+「やや不満」)は12.4%であった。否定的回答者よりも肯定的回答者の方がはるかに多い結果となっており、職場満足度は決して低いとはいえない状況にある。

 しかし、経営者は職場への従業員の満足度に危機感を持っており、それは人事部門でも同様だ。「職場のうつ」など、メンタル上の問題や、「パワハラ」などの問題が増えているということもあろう。「職場が劣化している」、あるいは「職場力が衰退している」という認識を持っているケースが圧倒的に多いのだ。コロナ禍の中でリモートワークとなり、各チームの状況が見えづらい状況になってから、危機感はますます高まっている。

 私どもは仕事上、職場の問題をあぶり出すための診断を提供しているが、このニーズは近年増え続けている。しかし、実際に行ってみると、それらの結果はやはり決して悪くはないことが多い。「職場への満足度」について、平均値が5点満点で3点台後半になることが多いのだ。それにもかかわらず、経営者は危機感を抱いており、人事部や現場のリーダーたちも、年々状況が思わしくなくなってきているということを肌で感じているようなのだ。

 このスコアと肌感覚とのギャップの原因はどこにあるのだろうか。その原因を探っていて分かったことが1つある。それは、回答のばらつきが年々大きくなってきているということだった。回答のばらつきとは、高く評価している人もいれば、低く評価している人もいるのである。

 この傾向が近年、ますます強く見られるようになっている。ばらつきと言っても、職場ごとのばらつきは以前から大きくあった。芳しい状況の職場もあれば、停滞している職場もある。これ自体は不思議なことではない。しかし、気になるのは、同じ職場内でのばらつきの方である。

 同じ職場に所属している人の中でも、自職場の状況を肯定的に受け止めている人もいれば、否定的な人もいる。平均値が3点台後半といっても、皆が4点や3点に付けているのではなく、4点を付けている人もいれば、2点を付けている人もいる。5点を付けている人もいれば、1点を付けている人もいる。二極化と言ってもいい。平均をとれば、3点台後半になるような場合でも、1点や2点を付けている人が、少数派であっても、一定数存在しているのだ。そうした状況がおそらく、経営者や人事部、現場マネジャーの人たちの肌感覚としての危機感に現れていると推察される。

「斜に構えたメンバー」の存在が職場力を衰退へと導く

 統計上の数字には表れない危機的な状況が、実際にはあちこちの職場で起こっている。職場においてグループヒアリングの場などを持つと、さらにそうした状況が鮮明になる。例えば、職場改善に前向きな人がいる一方で、無関心であり、完全に閉じているような人、あるいは発言はせず、常に斜に構えた態度をとっている人がいたりする。

 そうした職場では、少数の閉じていたり、批判的な人たちによる悪影響で、人間関係が断絶してしまっており、前向きな活動などはまったく進まない状態にあったりする。当初は前向きだった人たちも、自分たちだけが一生懸命やっているのも徐々にばからしくなり、やがて傍観するようになる。ネガティブな影響力は大変大きいのである。

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