モビリティが提供する機能の幅が広がっている。“移動”という従来よりの機能に加え、コネクテッドサービスで多様なサービスを提供し、リラックスできる空間を作り上げ、災害時には電力の供給源になったりしている。そして、新たなプレイヤーが進出を始めている。
モビリティが提供する機能の幅が広がっている。“移動”という従来よりの機能に加え、コネクテッドサービスで多様なサービスをモビリティ内で提供し、リラックスできる空間を作り上げ、キッチンカーも出現し、災害時には電力の供給源になったりしている。そして、新たなプレイヤーがモビリティ作りに進出を始めている。ArrivalのようなスケートボードPF提供プレイヤー、Navyaのような自動運転モビリティプレイヤー、Apple Carのような異業種からの参入。このような話題はメディアを通じて連日提供されている。
これらの動きを、ビジネスのエコシステムとして捉えてみる。従来はOEMを頂点にした開発・製造・販売・アフターという1つのバリューチェーンがあった。機能の幅の拡大と多様なプレイヤーの参入により、単一のビジネスとして語ることが難しくなってきた。機能の幅が広がるモビリティを主語にすると、「5つのエコシステムでモビリティが構成される」、と捉えてはどうか。ただし、個々のエコシステムを主語に考えると、モビリティの領域にとどまらないビジネスを成立させる生態系が作り上げられており、モビリティは各エコシステムの中の一部に位置付けられる、ということになるだろう。
“移動”というモビリティがモビリティたる役割を果たす機能であり、足回り・ステアリング・プラットフォーム・モーター(エンジン)などが含まれる。このモジュールでは、高速で安定的に安全に走るメカを組み上げる能力が必要であり、一朝一夕に得られるものではないと考えられる。
電動化の進展と共に存在感を増す電池のライフサイクル全体を1つのエコシステムとして捉える。そこには、電池の製造、一次利用、中古としての二次利用、リサイクル、BMS、需給マッチングなどが含まれる。モビリティ向けに一次利用された電池は、定置型電池として二次利用が期待される。その背景には再生可能エネルギーなどの普及により電力供給の変動幅が大きくなり、その変動を吸収する役割が求められるからである。このエコシステムの成立には、電池の標準化や、たくさんの電池の需要と供給が1つのプラットフォーム上で共有される仕組みが作られることが必要となる。
自動運転の実現に必要な、制御システムやAI、そのための情報蓄積を1つのエコシステムとして捉える。車載センサーや道路インフラからのV2X含めた認知、判断、操作、大量の情報蓄積を通じた制御(ソフトウェア)の進化、各モビリティの制御ソフトウェアのアップデートまでを含む。進化は日進月歩であり、制御を進化させるために早く大量の情報を集めることがポイントであり、同時に街を走っているモビリティのアップデートができることが必要となる。ただし、必要十分なレベルまで進化した時、このモジュールは汎用的なものになる。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授