仕事をしていて一番言われて痛い言葉は「君、使えないな」で、これを言われたらチャンスを失う。デートで「あの人は使えない」と言われたら、恋愛もうまくいかない。どうすれば使える人になれるのか。
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チャンスをつかめる人は、「使える」と言われる人です。チャンスをつかめない人は、「使えない」と言われる人です。リーダーでも、スタッフでも、同じです。
仕事をしていて一番言われて痛い言葉は「君、使えないな」です。これを言われたらチャンスを失います。デートで「あの人は使えない」と言われたら、恋愛もうまくいきません。趣味や勉強も同じです。
「使える人」と「使えない人」の差は能力ではありません。使える人とは、少ない情報で動ける人です。
「今度の企画はこういうのでやりたいんだよね」と話した時に、
(1)「あ、なるほど、その手があったか」と分かる人
(2)「それって具体的にどういうことですか」と聞く人
の2通りに分かれます。
1を言って10分かるか、10言わなければ分からないかが、使える人と使えない人の分かれ目になります。1を聞いて動けるのは自発的な人です。10のうち、残り9を自分の頭で考えるトレーニングをしているのが使える人です。
1を聞いた時に、「残り9も一応確認しておかないと」という気持ちになる人は使えません。例えば、1を話した時に、Aさんは1で動いて、Bさんは10まで確認しました。すると、「おまえ、めんどくさいから、もうしなくていい」と、Bさんは仕事からはずされます。
これが日常の仕事で起きています。
「使えない」と判断を下されたBさんは、ヤル気がないのではありません。まじめで一生懸命な人です。前に確認しないで「違うよ、何してるの?」と怒られて以来、叱られるのが怖くて確認するのです。
1で動けるAさんも失敗はあります。「これじゃないよ」と言われた時に、Aさんは考えるのです。例えば、缶コーヒーを頼まれて、買ってきたものを渡すと「オレは、いつも無糖だろう」と言われました。
そこで「先に確認すればよかった」と反省して、次に頼まれた時に、「加糖ですか、微糖ですか、無糖ですか」「どこのメーカーがいいですか」「売り切れだったらどうしますか」「温かいのと冷たいのはどちらがいいですか」と、全部確認する人がいます。
すると、頼んでいる側はめんどくさくなり、「おまえ、いいや、オレ、自分で買ってくるわ」となるのです。
中には、「缶コーヒー買ってきて」と言われた時に、正解を買ってくる人がいます。それは、1回間違えた後に、次に頼まれる前から「いつもあの人は何を飲んでいるか」と確認していたからです。その場に5人にいる時は、5人全員の好みを覚えます。これが「いつものを覚えていく」ということです。
結果として、確認作業が減り、1を言っただけで分かるようになります。
なんでもかんでも確認して、自分が叱られないようにする人は、切り捨てられるのを恐れているのです。そのために、自分の頭で考えないで、そのつど確認します。
冬は温かいものを頼み、夏はアイスを頼む人の場合は、「季節の境目はどうするか」と考えればいいのです。「今日、暖かいので冷たい方を買ってきました」とできるのが、自分の頭で考える人です。
リアクションで大切なのは、ふだん、どこで、どうして、何を観察しているかです。その瞬間だけの問題ではありません。リアクションは瞬発力ではなく、ふだん見ている持続力の勝負なのです。
「例えば、○○みたいな」で分かる人は、仕事に関係ない引出しを増やしている。
打ち合わせをしていると、「例えば、○○みたいな感じがいいよね」という表現が出てくることがあります。この時、相手の反応は、
(1)「あ、なるほどね、分かりやすい」と言う人
(2)「それ、何ですか」と言って手元のスマホで調べ始める人
の2通りに分かれます。
仕事まわりに限らず、何が例えで来るか分かりません。例えは、そのものから距離感の離れているものを持ってきた方が分かりやすいのです。
日常的にオールジャンルの知識に触れたり、仕事に関係ない本を読んだりしている人は、例えを聞いて、「あれですね、分かります」「そうか、その手があるな」と言います。指示が来た時にその場で共感できる人は、ふだんから仕事に関係ない引出しを増やしている人です。
仕事に関係ある本しか読んでいない人は、仕事に関係ない例えが出てきた時に分からなくなります。ふだんから、仕事に関係ない知識を増やしたり、仕事に関係ない本を読んだりしておくことです。
実際の仕事において、教養的な話や趣味的な話など、仕事に関係ない情報はたくさんあります。むしろ仕事に関係ある情報は100分の1個です。99は仕事に関係ないものです。
効率だけを考えて生きている人は、リアクションができなくなってしまいます。
「例えば、○○みたいな感じ」「絵で言うと○○みたいな感じ」とすごいマニアックな例えをして、これは通じないかなと思いながら言っているにもかかわらず「あ、あれですね。分かります」と言われることがあります。「なんで?」と聞いて、「展覧会の時に行きました」と言われると、突然、その人と一緒に仕事をしたくなります。「これ、分かってくれる人に初めて会えた」という共感性が出てくるからです。
これがリアクションです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授