リアクションで、一気にその他大勢から抜け出して抜てきされるチャンスが生まれたり、相手と気持ちが通じ合えたりするのは、能力ではありません。
いわゆる能力とは、限られたジャンルの何かができることです。仕事に関係ない、非効率なことを何かしていることで、相手の印象に残ります。「ヘンなこと知ってるね」ということが相手とバチッとつながった時に、場外ホームランになる可能性があるのです。
相手に共感していると、リアクションは勝手に出るものです。「リアクションしなければいけない」という時点で、よけいなことを頭の中で考え始めます。「どこでリアクションを出そうか」と思っていると、究極は、相手の話をひとつも聞かなくなります。すると、聞いていないからリアクションがとれないという当たり前の現象が起こります。本人は「聞いています」と言っても、相手を見ていないのです。
リアクションで一番大切なのは、相手を見ることです。「ごはんを食べにいこう」と誘った時の0.9秒までの表情で決まるからです。その最初に出る相手の表情は、大脳の深いところで反応しているので、本能の感情です。
感情は0.9秒以内に出ます。その後、理性で「でも、ここで感じ悪くなったらいけないからこういうふうにしなければいけないな」と、社交辞令を言うのが1秒後から始まります。
1秒後を見ても、相手がどう感じているかは分かりません。0.9秒までは相手の本音が出ています。
「あ、残念、今日は予定が入っていた」と言われた時に一番見なければいけないところは、「うれしい」という表情が出ているかどうかです。リアクションは、自分がすることだけでなく、相手のすることも見る必要があります。
相手のリアクションを正しく把握しないと、自分の次のリアクションを間違えます。リアクションを間違える人は、相手のリアクションを取り間違えています。それは相手を見ていないからです。
相手を見ることが怖いのです。相手を見ることは、自分も見られるということです。そこで距離をとりたいと思っていると、相手を見ることができません。そうすると、相手の0.9秒までの本当の気持ちが分からず、共感性が生まれません。その結果、「あなたは人の気持ちが分からないよね」と言われ、ますます怖くなって相手を見られないという負のスパイラルに入ります。
リアクションで相手の本音に気付くためには、自分が話している時に相手から目をそらさないことです。ずっと見ていなくてもいいですが、自分が何か言った後の0.9秒までの相手の表情は見ていないとダメです。
1秒後は、タテマエなので見なくてもいいです。目をそらして相手を見られないタイプの人は、リアクションがヘタです。チャンスをつかめない人は、「あなたは人の気持ちが分からない」と言われてしまうのです。
相手から、目をそらさないことです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。セミナー、ワークショップ、オンライン講座を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気付きを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『成功する人のすごいリアクション』(河出書房新社)など、1090冊を超す。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授