学びを最大化する TTPSマネジメントとはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

新しいことに取り組む場合、まず巨人の肩に上って全体像を把握し、その次に自分自身のオリジナリティーを発揮して、さらに高い場所から物事を見られるようにする。

» 2021年02月18日 07時09分 公開
[中尾隆一郎ITmedia]

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TTPはさまざまな場面で活用できる

『学びを最大化する TTPS (徹底的にパクって進化させる)マネジメント』

 TTP(徹底的にパクル)は「偉大な先人の知恵から学ぶこと」で、さまざまな場面で活用できます。この偉大な先人の知恵から学ぶことを科学の世界では、「巨人の肩に乗る」と表現することがあります。ここでいう巨人とは、先人の科学者の中で、偉大な功績を残した人を指します。

 例えばニュートンやアインシュタインのような人で、その分野の偉大な巨人がいるのであれば、まず、その人が残した成果を学びましょうという事です。巨人の肩に乗ることができれば、高い位置から見ることができるはずです。自分の高さでは見えなかった、いろいろな物事が見えるようになるはずです。

 あなたが、新しいことに取り組む場合、まず巨人の肩に上って全体像を把握し、その次に自分自身のオリジナリティーを発揮して、さらに高い場所から物事を見られるようにする。この手順の方が効率的ではないでしょうか。ちなみに、巨人の肩に乗ることがTTP(徹底的にパクル)だとすると、登った後に自分自身のオリジナリティーを加えて、さらに高みに上ることを、この本のタイトルにもなっているTTPS(徹底的にパクッテ進化させる)と名付けました。

 そして、TTP、巨人の肩に乗ることで効率的にスキルを習得できるのは、科学の分野だけではありません。さまざまな分野で活用が可能です。例えば茶道、華道、武道などには守破離という言葉があります。型を守り、型を破り、型から離れる。と表現されます。型を守る「守」の部分は、基礎である「型」を徹底的に習得する事です。

 この部分はTTPつまり徹底的にパクるに該当します。そして、一度学んだ型を破り進化させる「破」の部分、これがTTPSつまり徹底的にパクって進化させるに該当します。ちなみに、「離」の部分は、いわゆる天才や超一流の域で、TTPSの対象ではありません。

 そして、このTTPSは、私たちの仕事や勉強でも活用できるのです。なぜならば、偉大な功績を残した人は、さまざまな分野に存在するからです。

仕事でのTTPSの進め方

 例えば、仕事の場面を考えてみます。

 組織の責任者が「方針」や「戦略」を考える際にも活用できます。中間管理職が、その方針や戦略を受けて「戦術」を考える場合にも活用できます。そして、メンバーが、その戦術を受けて日々のオペレーションを考える場合でも活用できます。さらに日常的な業務、例えば、資料の作成の仕方、分かりやすい日報の書き方、会議の仕方、上司への相談の仕方、接待の店の選び方、商談の進め方などなんにでも活用できるのです。

 TTPは、イケテイル先人の方法を見つけて、それをTTPするわけです。その対象は、組織の責任者の方針であっても、中間管理職の戦術であっても、メンバーの日報の書き方であっても、ステップは同じです。まず、自分自身、あるいは組織が強化したい箇所を特定する。そして、その強化したい箇所について最高にイケテイル方法を見つける。そしてそのイケテイル方法の重要ポイントを見つける。そして、その方法をTTPするという事です。

 一番重要なのはイケテイル方法を見つける事です。例えば、中間管理職であるあなたが、戦術を考える場合、イケテイル方法を見つけるためにいくつかの方法があります。(1)自分自身が過去うまく行った方法をTTPする。(2)周囲の同僚の方法からTTPする。(3)社内でもっともイケテイル中間管理職の方法をTTPする。(4)さらに枠を広げると同業含めて社外で一番イケテイル人の方法をTTPする。(5)さらに広げると異業界含めて一番イケテイル人の方法をTTPする。などが考えられます。

 (1)〜(5)のどの方法もあり得ます。あなた自身が会社を代表するような人材であれば(1)が有効です。周囲に優秀な同僚がいるのであれば(2)も有効です。ただし、TTPの本当の目的は、巨人の肩に乗る事です。せっかくTTPするのであれば一番イケテイル方法を選びたいのです。つまり少なくとも(3)、できれば(4)(5)を目指したいものです。

 ところが、往々にして、手近な方法から学ぼうとする人が多いのです。それでは、せっかくTTPしても巨人の肩に乗ることはできません。TTPする際には、少し視野を広げて対象を(3)〜(5)まで意識してみてください。

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